数学 「ポアンカレ予想」を証明した変わり者数学者、初めて出会った難問は「イエス様」
ポアンカレ予想 解決




/////

//////
【 ポアンカレ予想 】数学における世紀の難問「ポアンカレ予想」を証明したロシアの数学者グリゴリー・ペレルマン(Grigory Perelman)氏(44)が生まれて初めて解決したいと思った「謎」は、イエス・キリストがどうやって水の上を歩いたか、だった――。

 数学界のノーベル賞とされるフィールズ賞(Fields Prize)の受賞者に選ばれながらも受賞を辞退し、隠遁生活を送る変わり者の数学者に、このほど露日刊紙コムソモリスカヤ・プラウダ(Komsomolskaya Pravda)がインタビューした。

 ペレルマン氏は空間の位相的性質を研究する幾何学の分野である位相幾何学(トポロジー)の中で最も重要とみなされている問題の1つ「ポアンカレ予想」を証明し、2002~03年にインターネット上で発表した。この功績で2006年のフィールズ賞受賞が決まったものの、ペレルマン氏は受賞を辞退。米クレイ数学研究所のミレニアム賞と賞金100万ドルの受け取りも拒否したことで、世界的な注目を集めた。

 現在、サンクトペテルブルク(Saint Petersburg)の労働者階級向け高層マンションで、慎重に報道陣を避けつつ母親と暮らしているペレルマン氏は、自分たちソビエト連邦時代の学生は、非常に幼い時から抽象的な言葉で考える方法を学ぶことによって、優れた能力を開発した、と語った。「赤ん坊は、生まれた直後から経験を積み始める。腕や足を鍛えられるなら、頭脳だって鍛えられないわけがない」

 ペレルマン氏は、小学校のクラスで「解けない問題」に出会ったことはなかったそうだ。ところがあるとき、聖書の中の逸話でキリストが水の上を歩くことが出来たのはなぜかと問われ、答えに窮したという。「沈まずに水の上を徒歩で渡るためには、どの程度の速度で歩かなければならないか、解決しなくてはならなくなったんだ」

 その謎を解くことはできたのだろうか?インタビュアーに尋ねられたペレルマン氏は、「(聖書の)伝説が現在も言い伝えられているということは、それはわたしが間違っていなかったということだ」と答えた。

//////
数学の「ポアンカレ予想」を理解するための,動画・原論文・読み物・PDFのまとめ (ポアンカレからペレルマンまでの流れ)

////// 
以下の本で「ポアンカレ予想」の証明の理解に挑戦!

//////
リッチフローと幾何化予想 (数理物理シリーズ) 単行本 – 2011/6/1 小林 亮一 (著) (ポアンカレ予想へ)

リッチフローと幾何化予想 (ポアンカレ予想へ) 数理物理シリーズ 小林 亮一/著


内容説明
本書は、1970年代後半にサーストンにより予想された3次元閉多様体の幾何化が、ハミルトンとペレルマンによっていかに解決されたのか、解決に至るその議論の全容を紹介した書である。リッチフローの基礎理論からはじめて、Wエントロピー、簡約体積関数とその応用について述べる基礎編Part 1と、予想がいかに解決されるかについて述べる解決編Part 2から構成されている。初めて学ぶ読者を対象に、豊富な概念図とともに、懇切丁寧に解説する。
/////

記法・公式・定理のまとめ
0.オーバービュー
0.1 幾何化予想
0.2 ハミルトンプログラム
0.3 ペレルマンによるリッチフローへのアプローチ
Part Ⅰ リッチフローの基礎理論・Wエントロピー・簡約体積関数とその応用
1.リッチフローの基礎事項
1.1 リッチフローの定義
1.2 短時間存在と一意性
1.3 リッチソリトン
1.4 共役熱作用素とリッチフローの特徴づけ
1.5 曲率テンソルの時間発展
1.6 最大値原理
2.テンソルに対する最大値原理と3次元リッチフローのピンチング
2.1 テンソルに対する最大値原理
2.2 非負リッチ曲率は3次元完備曲率有界なリッチフローで保たれる
2.3 正のリッチ曲率をもつ3次元多様体のピンチング
2.4 3次元閉多様体上のリッチフローのピンチングに関するハミルトン・アイビーの定理
3.リッチフローの曲率の局所勾配評価とリッチフローの列の幾何収束
3.1 シィの局所勾配評価
3.2 リッチフローの列の幾何収束
4.リッチフローの勾配流解釈とその応用
4.1 リッチフローの勾配流解釈とブリーザー解の非存在
4.2 非局所崩壊定理
4.3 統計的解釈
5.リーマン幾何的熱浴.L幾何.ハルナック不等式
5.1 リーマン幾何的熱浴
5.2 ペレルマンのL幾何とハミルトンのハルナック不等式
6.伝播型非局所崩壊定理.微分形の単調性公式.擬局所性定理
6.1 リッチフローのもとでの距離関数の変化
6.2 非局所崩壊定理4.2.4の弱形の別証明
6.3 伝播型非局所崩壊定理
6.4 単調性公式の局所化とその応用
6.5 W汎関数と共役熱方程式の基本解によるリッチフローの弱い意味での特徴づけ
7.κ解−非負曲率作用素をもちκ非崩壊な古代解
7.1 κ解の漸近ソリトン
7.2 漸近スカラー曲率比と漸近体積比
8.3次元κ解
8.1 3次元κ解の集合のコンパクト性
8.2 3次元κ解の構造
9.3次元リッチフローの標準近傍定理
9.1 標準近傍定理
9.2 標準近傍定理の局所版と前方および後方曲率評価
Part Ⅱ 幾何化予想の解決
10.いろいろな定義・記号
11.3次元κ解の分類
11.1 漸近ソリトンの分類
11.2 κ解の分類
12.R3の標準解
12.1 標準帽化シリンダー計量
12.2 R3の標準解の性質
13.最初の特異時刻におけるリッチフロー解の構造
13.1 極限リーマン多様体
13.2 極限リーマン多様体の構造
14.カットオフつきリッチフロー
14.1 極限計量におけるε角部の長さ
14.2 カットオフつきリッチフローの定義
14.3 標準近傍半径とカットオフ半径
14.4 カットオフつきリッチフロー
15.カットオフつきリッチフローにおけるピンチング条件と標準近傍条件
15.1 カットオフつきリッチフローにおけるピンチング条件
15.2 カットオフつきリッチフローにおける標準近傍条件
16.カットオフつきリッチフローの長時間における振舞い(Ⅰ)
16.1 初期計量のスカラー曲率が非負の場合
16.2 スカラー曲率が負の領域がいつまでも残る場合
17.カットオフつきリッチフローの長時間における振舞い(Ⅱ)
17.1 双曲計量への収束
17.2 広部−狭部分解
17.3 体積有限完備双曲多様体の剛性と広部の安定性
17.4 広部の境界に現れるトーラスの非圧縮性
17.5 グラフ多様体
18.カットオフつきリッチフローにおける作用素−4Δ+Rの第1固有値
18.1 カットオフつきリッチフローの作用素−4Δ+Rの第1固有値
18.2 スペクトル不変量と3次元閉多様体の位相型



/////
0.オーバービュー
0.1 幾何化予想/0.2 ハミルトンプログラム/0.3 ペレルマンによるリッチフローへのアプローチ
Part Ⅰ リッチフローの基礎理論・Wエントロピー・簡約体積関数とその応用
1.リッチフローの基礎事項
1.1 リッチフローの定義/1.2 短時間存在と一意性/1.3 リッチソリトン/1.4 共役熱作用素とリッチフローの特徴づけ/1.5 曲率テンソルの時間発展/1.6 最大値原理
2.テンソルに対する最大値原理と3次元リッチフローのピンチング
2.1 テンソルに対する最大値原理/2.2 非負リッチ曲率は3次元完備曲率有界なリッチフローで保たれる/2.3 正のリッチ曲率をもつ3次元多様体のピンチング/2.4 3次元閉多様体上のリッチフローのピンチングに関するハミルトン・アイビーの定理
3.リッチフローの曲率の局所勾配評価とリッチフローの列の幾何収束
3.1 シィの局所勾配評価/3.2 リッチフローの列の幾何収束
4.リッチフローの勾配流解釈とその応用
4.1 リッチフローの勾配流解釈とブリーザー解の非存在/4.2 非局所崩壊定理/4.3 統計的解釈
5.リーマン幾何的熱浴.L幾何.ハルナック不等式
5.1 リーマン幾何的熱浴/5.2 ペレルマンのL幾何とハミルトンのハルナック不等式
6.伝播型非局所崩壊定理.微分形の単調性公式.擬局所性定理
6.1 リッチフローのもとでの距離関数の変化/6.2 非局所崩壊定理4.2.4の弱形の別証明/6.3 伝播型非局所崩壊定理/6.4 単調性公式の局所化とその応用/6.5 W汎関数と共役熱方程式の基本解によるリッチフローの弱い意味での特徴づけ
7.κ解-非負曲率作用素をもちκ非崩壊な古代解
7.1 κ解の漸近ソリトン/7.2 漸近スカラー曲率比と漸近体積比
8.3次元κ解
8.1 3次元κ解の集合のコンパクト性/8.2 3次元κ解の構造
9.3次元リッチフローの標準近傍定理
9.1 標準近傍定理/9.2 標準近傍定理の局所版と前方および後方曲率評価
Part Ⅱ 幾何化予想の解決
10.いろいろな定義・記号
11.3次元κ解の分類
11.1 漸近ソリトンの分類/11.2 κ解の分類
12.R[3]の標準解
12.1 標準帽化シリンダー計量/12.2 R[3]の標準解の性質
13.最初の特異時刻におけるリッチフロー解の構造
13.1 極限リーマン多様体/13.2 極限リーマン多様体の構造
14.カットオフつきリッチフロー
14.1 極限計量におけるε角部の長さ/14.2 カットオフつきリッチフローの定義/14.3 標準近傍半径とカットオフ半径/14.4 カットオフつきリッチフロー
15.カットオフつきリッチフローにおけるピンチング条件と標準近傍条件
15.1 カットオフつきリッチフローにおけるピンチング条件/15.2 カットオフつきリッチフローにおける標準近傍条件
16.カットオフつきリッチフローの長時間における振舞い(Ⅰ)
16.1 初期計量のスカラー曲率が非負の場合/16.2 スカラー曲率が負の領域がいつまでも残る場合
17.カットオフつきリッチフローの長時間における振舞い(Ⅱ)
17.1 双曲計量への収束/17.2 広部-狭部分解/17.3 体積有限完備双曲多様体の剛性と広部の安定性/17.4 広部の境界に現れるトーラスの非圧縮性/17.5 グラフ多様体
18.カットオフつきリッチフローにおける作用素-4Δ+Rの第1固有値
18.1 カットオフつきリッチフローの作用素-4Δ+Rの第1固有値/18.2 スペクトル不変量と3次元閉多様体の位相型


/////

「n 次元球面 Sn にホモトピー同値な閉多様体は Sn に同相であろう」という n 次元ポア ンカレ予想は,歴史的には n  5 のときスメイル, n = 4 のときフリードマンによって 肯定的に解決されました.n = 3 の場合には 1970 年代後半になって,サーストンが幾 何化という新たな概念を導入することにより「3 次元閉多様体は 8 種類の幾何構造を もつピースに標準的に分解されるであろう」という幾何化予想を提唱し,3 次元ポア ンカレ予想をも包摂する新たな枠組みが提出されました.さらに 2003 年ころにペレ ルマンは,ハミルトンによるリッチフローの研究をさらに発展させる形で,このサー ストンの幾何化予想を解決し,その系として 3 次元ポアンカレ予想を肯定的に解決し ました:
[P1] G.Perelman, The entropy formula for the Ricci flow and its geometric applications, arXiv: math/0211159.
[P2] –––– , Ricci flow with surgery on three-manifolds, arXiv: math/0303109.
[P3] –––– , Finite extinction time for the solution to the Ricci flow on certain three manifolds, arXiv: math/0307245.
本書は,上記3編の論文とクライナー・ロットによる記事 B.Kleiner & J.Lot, Notes on Perelman, arXiv: math/0605667 を参考に,ペレルマンによる幾何化予想解決の詳細を 丁寧に解説したものです.内容的には,リッチフローの基礎理論から始めて幾何化予 想の解決に至るまで,研究者を志す大学院生やある程度の予備知識をもつ数学者を念 頭に書かれたハイレベルのテキストで,本書のあちこちに著者の創意と工夫が垣間見 えます.序文で著者も強調しているように,上記3編の原論文を手元におき比較対照 しながら本書を読むことが最もお勧めです.以下ではその内容を詳しく見ていこうと 思います.
第0章で,サーストンの幾何化予想,ハミルトンによるリッチフローの研究,さらに はペレルマンのアプローチを俯瞰したあと,Part I(第1章から9章まで)では,ハミルトン・ペレルマンによるリッチフローの方法の全容が明かされます.さらに Part II(第10章から18章まで)では,Part I で準備した種々の道具が幾何化予想をい かに解決に導くかを詳細に述べています.
3次元リッチフローで初期計量を変形していくとき,有限時間 t = T で特異性が現れる とします.T に至る時刻の列{ti}を適当にとり,各時刻で曲率が大きい点を選んで曲率 の大きさを用いてリッチフロー解をリスケールした極限をハミルトンは考察しました. (このようなリスケール解の列の極限では,定義される時間区間が無限大に伸びる可 能性があり,過去に無限に伸びた時間区間(,T]で定義されたリッチフロー解は古代 解とよばれています.)彼はハルナック不等式に基づいて,特異点が現れる直前の曲率 が大きい点の近傍は標準的な構造を持つことを予想したのですが,さらに特異点に潰 れて行く部分の周辺を手術で切り離します.こうした操作の繰り返しにより,ハミル トンは手術つきリッチフローというものを考え,有限時間で解が消滅する場合を除け ば,リッチフローが時間無限大まで延長して最終的には標準的なものになることを予 想しました.
リスケール解の列の収束を示すには,コンパクト性定理 R.S.Hamilton, A compactness property for solutions of the Ricci flow, Amer.J.Math., 117 (1995), 545—572, を用いる ため,単射半径の下からの評価と曲率の一様有界性が必要となります.この困難性を 解決したのがペレルマンの局所非崩壊定理(第4章)やその伝播型(第6章)ですが, 彼はこれらを示す過程で W エントロピー(第4章)や L 幾何(第5章)などの重要な 概念を導入しました.さらにリッチフロー解の特異点の解析は,非負曲率作用素をも ち非崩壊な古代解である解の構造を理解することに帰着され(第7章),ペレルマン による3次元解の構造定理(第8章)やその分類(第11章)が基本的役割を果たし ます.一方,特異点が現れる直前での曲率が大きい点の近傍は標準的な構造を持つ(あ る解の対応する部分集合によって近似される)というペレルマンによる3次元リッ チフローの標準近傍定理(第9章)も問題解決の重要な鍵でした. 第12章及び第13章は手術つきリッチフローに必要な基礎的事項の説明にあてられ, 第14章及び第15章では「ピンチング条件」や「標準近傍条件」をみたす手術つき リッチフローとして,カットオフつきリッチフローという概念が定式化されます.リ ッチフローを走らせた場合に,特異点が生じるごとに標準的な方法で手術を行うこと により,カットオフつきリッチフロー解が(消滅しない限り)時間無限大まで延長し ます.そして第16章と第17章で,カットオフつきリッチフロー解の長時間におけ る振舞いを調べることで,幾何化予想の肯定的解決が得られます(定理 17.5.9):
すなわち,任意の3次元閉多様体 M 上に初期計量を与えてカットオフつきリッチフロ ーを走らせると,以下の2つの場合が起こります.

(Case 1) 有限時間ですべての連結成分のスカラー曲率が非負に成る場合;
(Case 2) スカラー曲率が負の領域がいつまでも残る場合.
上の Case 1 の場合には,スカラー曲率が零になる連結成分と,スカラー曲率がどこか で正になる連結成分の連結和になりますが,後者の連結成分上ではカットオフつきリ ッチフローの生存時間は有限となります.この場合は M はいくつかの平坦閉多様体, いくつかの S1 S2 と,いくつかの標準球面 S3 の計量商の連結和に微分同相となります. 一方 Case 2 の場合には,カットオフつきリッチフローは時間無限大まで延長され,M には広部-狭部分解がおこり,狭部(体積崩壊する部分)はグラフ多様体に微分同相で す.([P2] 及び 塩谷-山口:Volume collapsed three-manifolds with a lower curvature bound, Math.Ann. 333 (2005), 131—155 参照.) 一方広部は,適当なスケーリングの後,い くつかの閉双曲多様体または体積有限完備双曲多様体(のカスプを切り落としたもの) に点つき幾何収束します.そして M は狭部と広部を非圧縮的トーラスに沿って貼り合 わせたものに微分同相となります. ただしカットオフつきリッチフローにおいて手術は有限時間では高々有限回であるが, 時間大域的には狭部において手術が無限回起きている可能性を排除できない.このよ うな状況であっても,トポロジー的に意味のある連結和分解は有限回で終了していて, 幾何化予想の結論には影響しません(注意 17.5.8;J.W.Morgan & G.Tian, Completion of the proof of the Geometrization Conjecture, arXiv: math/0809.4040).
//////