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数学(算数)・素数にまつわる話題から、やや専門的な「整数論」「数論幾何学」「代数幾何学」のような話題。「フェルマーの最終定理」、「ポアンカレ予想」の解決の「証明」の理解など、夏休みの研究の話題など、小中高から一般までの話題、「ABC予想」、「リーマン予想」の周辺など 「志村多様体」「保形表現」

2009年02月

数学(算数)・素数にまつわる話題から、やや専門的な「整数論」「数論幾何学」「代数幾何学」のような話題。「フェルマーの最終定理」、「ポアンカレ予想」の解決の「証明」の理解など

メモ 数学者 2009年02月23日 近世日本人数学者列伝~森重文~

メモ 数学者 2009年02月23日  近世日本人数学者列伝~森重文~

(【今日の数学者】2月23日はガウスの命日であり、志村-谷山予想の志村五郎先生のお誕生日であり、フィールズ・メダリストの森重文先生のお誕生日です。 ガウスの生まれかわりの フィールズ・メダリストの森重文先生ですね!森教授の好きな数字は「23」。この数字になにか神秘的な性質があるのかとインタビュアーは思った が、好きな理由は「誕生日が23日だからです」だそうだ。)
 


近世日本人数学者列伝~森重文~

その数学者は厳粛な面持ちでメダルを受け取りました。彼こそ日本で3人目のフィールズ賞受賞者、森重文でした。当時大学生だった私はその授賞式を目の当たりにしていました。第21回国際数学者会議(ICM90)は、1990年8月21日から8月29日まで国立京都国際会館で開催されました。9日間に及ぶ大会は、世界中から4000人が参加し、ハイライトである授賞式ではフィールズ賞が森重文、ドリンフェルト、ジョーンズ、ウィッテンの4氏に、ネヴェリンナ賞はラズボロフに与えられ幕を閉じたのでした。
大成功に終わった第21回国際数学者会議(ICM90)を振り返ると、これまでの日本人数学者が築き上げてきた日本の数学が世界をいかにリードしてきたか、つまり日本が数学大国の地位を占めているかを物語っていると言えます。このとき、最初の日本人フィールズ賞受賞者である小平邦彦(連載 第28回、第30回)が組織委員長を務め、二人目のフィールズ賞受賞者広中平祐(連載 第31回、第32回)が森重文の業績紹介を行っています。

先駆者としての小平と広中は世界に認められ日本の数学を牽引してきました。彼らの尽力の甲斐あり、ついに日本で開催されることになった国際数学者会議だったのです。そこで、森重文にフィールズ賞が授与されるというのはベスト・タイミングだったとしかいえません。いくら日本での開催だからといい日本人に受賞させようなどという「あまい」はからいはありえなかったことを言っておかなければなりません。連載第28回でも説明した通り、国際数学者連合(IMU)が数年をかけた慎重な審議を行い受賞者は決定されます。
歴代二人の日本人フィールズ賞受賞者をはじめ、後に第1回ガウス賞を受賞することになる伊藤清(連載参照:「数学~その遙かなる風景~」パート4「数学は言葉」最終回)がICM90 名誉会長、そして2,300名の日本人参加者の中で日本人森重文にフィールズメダルが授与されることはまさに感慨深い思い出でした。

●日本で研究をしたフィールズメダリスト、森重文

1951年 名古屋に生まれる
1973年 京都大学理学部卒
1975年 京都大学理学部助手
1977年 米国ハーバード大学助教授(~1980)
1978年 京都大学にて博士号取得、指導教官は永田雅宜
1979年 ハーツホーン予想を解決
1982年 名古屋大学講師
1983年 日本数学会彌永賞
1984年 中日文化賞受賞
1987年 3次元の代数多様体の極小モデルの存在証明に成功
1988年 日本数学会秋季賞、名古屋大学教授
1990年 フィールズ賞受賞、京都大学数理解析研究所教授、日本学士院学士院賞、文化功労者
1998年 日本学士院会員
2004年 藤原科学財団藤原賞受賞
この経歴をみて気づくことがあります。日本国内での研究だけでフィールズ賞をとったことです。小平邦彦は頭脳流出第一号といわれたほどアメリカでながく研究生活をおくりましたし、広中平祐も同様に世界に飛び出ることで海外の優秀な指導者に巡り会うことができ、フィールズ賞をとることにつながったと言えます。それに対して、森重文は3年間のハーバード大学助教授の経験はあるものの、研究は日本国内で行われています。このことは日本数学の層の厚さを実証することにもなったわけです。真に日本で研究をしてフィールズ賞を受賞した唯一の数学者こそ森重文なのです。

それにしても森重文はどのようにしてフィールズ賞にまでたどり着いたのでしょうか。ひとつのエピソードがそれを教えてくれます。森は東海中学校・高等学校を卒業しています。私は数年前ここで講演をする機会があったのですが、驚いたことにそれは東海中学校の生徒が直接私本人に講演依頼をしたことで実現したのです。そんなことはこれまでにこの東海中学校だけです。学校の先生にきけば、その講演会は例年、中学生に運営のすべてを任せて開催されるとのことでした。私に講演依頼してきた中学生はとてもしっかりした印象でした。なるほど生徒の自主性を重んじる学校の姿勢が本物であり、著名な卒業生のラインナップがそれを物語っています。そのような校風の中、高校生の森重文は月刊誌「大学への数学」の懸賞問題に応募し満点を取りまくっていました。大学紛争で東大の入試が中止になり京大に進んだことも後に大きな運命の分かれ道になりました。京大で広中平祐の代数幾何の講義を受け、その明解さに感銘を受けた森は代数幾何の道に進んで行きました。決してエリート教育を受けたわけでなく、普通の日本の教育の中で森重文は好きな数学の問題を考え続けてきたといえます。日本の教育システムの問題点が語られ続けて久しいですが、森重文の歩んだ道のりを振り返ってみると日本にはちゃんと学問ができる環境はあることがわかってきます。

昨年私は彼に会う機会があり、様々な話を聞くことができました。私が数学は森先生にとって何でしょうかと尋ねたところ、即答してもらえませんでした。そこで、数学は仕事ですかと聞くと、そうではないといい、さらに趣味ですかと聞けば、趣味でもないと答えてくださったことが印象的でした。すぐに、フランスの数学者ポアンカレの言葉を思い出しました。「数学者になることはできない。数学者として生まれるのでなければならない」
次回、森重文・後編では氏の業績「3次元代数多様体の分類」を紹介していきます。 


●フィールズ賞受賞理由「3次元代数多様体の極小モデルの存在定理」


ICM90 会場、国立京都国際会館での舞楽「五節の舞」

フィールズ賞選考委員会委員長ファデーエフからフィールズメダルを受け取る森重文

ICM90 京都で自らの理論を説明する森重文

広中平祐による森重文の業績紹介
森重文の専門は広中平祐(連載第31回、第32回)と同じ代数幾何学です。多項式の零点の集合を代数多様体といいます。例えば図形としての円は、多項式でx2+y2.r2=0 を満たす点(x,y) の集合(零点の集合)と言い換えられます。多項式でx2+y2.r2=0 は2次式なので、その曲線は2次曲線と呼ばれます。多項式x2+ay2.1=0 の零点の集合はa の値によって双曲線、平行線、楕円に分類されます。多項式の係数と多様体(代数曲線)の形の関係が見えてきます。

このように、多項式から多様体(「図形」を一般化・抽象化した概念)をみるのが代数幾何学と呼ばれる分野で、ここでの幾何(図形)を代数多様体といいます。代数幾何学とは、次元の高い(つまり見えない)代数多様体の性質を調べる分野ということになります。そして、「代数多様体の分類」こそ大きな目的となっているのです。森重文自身は次のように説明しています。
代数幾何とは何かは説明しにくいように言われているけれど、四則演算しか使わないのだから、「図形」が目に見えないということを気にしなければ、それほどでもないと思います。代数幾何とは「連立方程式で表される図形」だから、いくつか絵を描いてそんなものだという感じをつかんでもらえればいいんです。抽象画のような絵しか描けないんですけど、論理を追う論理力と想像力というか柔軟さがあれば、そんなに難しいことだとは思いません。
「森重文インタビュー」
(「数学セミナー」1991年2月号臨時増刊 国際数学者会議ICM90 京都、日本評論社)

さて、その代数多様体の分類は多項式の次数が上がるにつれて難易度が急激に増してきます。先ほどの例の「2次曲線の分類」は直交座標をうまく選ぶことがポイントになります。3次以上の代数曲線では、射影変換といわれる手法でやはりうまい座標を選ぶことがポイントになります。このように分類理論を建設するためにさまざまな新しい強力な手法が発見されていくことになりました。小平邦彦(連載第28回、第30回)は解析多様体の分類に成功し、広中平祐は代数多様体の特異点を解消できることを示して代数多様体研究の土台を築き上げたのでした。そして、広中平祐が行った特異点解消理論は「双有理変換」という手法が大きなポイントだったのですが、森重文は新しい手法「端射線の理論」を作り上げて困難とされた3次元多様体の分類と双有理変換の研究を可能にしていきました。そして、ついに1988年に「3次元代数多様体の極小モデルの存在定理」が証明され、1990年のフィールズ賞受賞に至りました。
まさに、小平邦彦、広中平祐の研究の先に森重文が存在していたことになったわけです。この3次元の場合、その分類はだれもよせつけないほどの困難さがあったにもかかわらず、森重文は独自の研究を続け、独創的な手法と独自の研究方針(いわゆる「森プログラム」)をつくりあげていったのです。小平、広中がそうであったように森も自らの状況のすべてを「災い転じて福となす」の行動で道を切り開き突き進んできたといえます。森は若者へのメッセージを次のように答えています。
興味を持ったり疑問に思ったりしたことを大切にすることでしょう。多くの場合、簡単に答えらしいものが出せるかもしれませんが、より良い答を求めて、未決として覚えておくのも大事だと思うんです。そして、研究課題を選んだり解こうとして考えたりする場合に、重要だとか解けそうだとかいうことを考えますが、結局最後に残るのは自分の直観でしょう。ここで直観というのは、要するに好きか嫌いかだと思うんです。自分が好きできた道なら最後の階段での一踏ん張りがきくんじゃないでしょうか。有利だ、不利だということで決めるとなかなかそうはならない。こんなはずじゃなかったとかって。
「森重文インタビュー」
(「数学セミナー」1991年2月号臨時増刊 国際数学者会議ICM90 京都、日本評論社)

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近世日本人数学者列伝~森重文~ 

森重文の専門は広中平祐(連載第31回、第32回)と同じ代数幾何学です。多項式の 
零点の集合を代数多様体といいます。例えば図形としての円は、多項式でx2+y2.r2=0 を 
満たす点(x,y) の集合(零点の集合)と言い換えられます。 

【双曲線、平行線、楕円】 ttp://www.toyokeizai.net/public/image/2009012700156331-6.gif 

このように、多項式から多様体(「図形」を一般化・抽象化した概念)をみるのが代数幾何学と 
呼ばれる分野で、代数幾何学とは、代数多様体の性質を調べる分野ということになります。 
そして、「代数多様体の分類」こそ大きな目的となっているのです。森重文自身は 
次のように説明しています。 

  代数幾何とは何かは説明しにくいように言われているけれど、四則演算しか使わない 
  のだから、「図形」が目に見えないということを気にしなければ、それほどでもないと思います。 
  代数幾何とは「連立方程式で表される図形」だから、いくつか絵を描いてそんなものだと 
  いう感じをつかんでもらえればいいんです。抽象画のような絵しか描けないんですけど、 
  論理を追う論理力と想像力というか柔軟さがあれば、そんなに難しいことだとは思いません。 
(「数学セミナー」1991年2月号臨時増刊 国際数学者会議ICM90 京都、日本評論社) 

森重文は新しい手法「端射線の理論」を作り上げて困難とされた3次元多様体の分類と 
双有理変換の研究を可能にしていきました。そして、ついに1988年に「3次元代数多様体の 
極小モデルの存在定理」が証明され、1990年のフィールズ賞受賞に至りました。 
ttp://www.toyokeizai.net/life/hobby/detail/AC/c7913df9f97b986c508ccc67193bf90a/ 


>>> ttp://www.toyokeizai.net/public/image/2009012700156331-6.gif 

こんな小学生でも殴りで二秒で描ける輪郭線やら直線やらを、難解な数式でさも役に立つことのように 
誤魔化す技術が代数幾何学。

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研究について
私の研究分野は代数幾何に含まれてい ます。代数幾何なんて言うと聞き慣れな いかもしれませんが、実はみなさんもそ の初歩は高校で習っています。一番わか りやすい例は単位円。あれはx2+y2=1と いう方程式の解、その全体集合が平面上 で半径1の円を描いているわけです。円 をx2+y2=1という方程式で表していると もいえます。方程式と図形、すなわち代 数と幾何とをスイッチしながら考察して いく、それが代数幾何という学問です。
 私が専門に研究しているのは、極小モデル理論というものです。高度な数学になると考察する図形も3次元以上になる。そうなるともう図として表せない。だから図にできないなりに考えやすいものに変換したいと考えるわけです。そのための変換の手掛かりになる端射線というものを用いて、極小モデルという考えやすい図形に変換していく。そうして図形を分類していくのが主な目的ですね。私としては、どうやったらうまく変換することができるのか、その変換の仕方に特に興味を持っています。


受賞まで
代数幾何との出会いはハーツホーン予 想という未解決問題に取り組んだことで すね。日本で研究していた時は部分的に しか証明することができなかったけど、 留学してからもう一度考えてみたら解く ことができた。その時 に思いついたの が、先ほど述べた端射線なんです。つま りハーツホーン予想という特殊な問題を 解こうとしていたら、端射線という広範 な概念を発見できたわけです。
 この端射線の話を拡張しようとしていて、その過程で極小モデルの存在定理を発見することができた。これがフィールズ賞受賞の大きな要因でした。もちろん解ければいいなと思って研究してはいたけれど、自分が思っていた方向とは違う形で証明できてしまったので、とても驚いた記憶があります。
 授賞式の後は、もう本当に忙しくてなんにも覚えていません。というのは記者からの取材が多くて多くて。授賞式が日本で開催されたこともあいまって、しばらく対応に追われて研究どころじゃありませんでしたね。


数学への思い
 いつから数学に興味を持ち始めたのかと聞かれると困ってしまうけれど、大学に入るときにはすでに数学をやりたいと思っていました。高校のころに受験数学冊子を読んでいて、その懸賞問題に投稿したりしていましたね。受験数学の問題よりも発展的な問題が多くて、考えるのが面白かった。でも、高校の時に大学の内容を進んで学んでいたりはしませんでした。大学での数学に触れたのは大学に入ってからですよ。数学のどこに魅力を感じるかと聞かれ ると、うーん......困るなぁ(笑)。私の 場合は方程式に魅力を感じたんだろう なぁ。高度な代数幾何の対象は図に表し 得ないものなんだけど、その図形の特徴 なら方程式として表すことができる。方 程式には図形の特徴が詰まっているから、 それをつなぎ合わせていけば全体像がつ かめる。だから私は、代数幾何という学 問は抽象画・キュビズムみたいなものだ と考えています。目では見えないものを 別のものを用いて表現していく、そうい うところに魅力を感じるんだと思います。

学生時代
 私が大学に入学した年というのはちょうど大学紛争で東京大学の入試が中止になった年だったんです。それで京都大学に入学したんですけど、入ってすぐ大学が封鎖されて授業が無くなってしまった。みなさんには想像もつかないかもしれないけれど、半年以上大学が機能しなかったんですよ。
しかし私は本当にただ数学がやりた かっただけの学生でしたから、あまり頓 着しませんでしたね。むしろ数学に興味 を持つ同回生と、クラス担任だった数学 の教授にチューターをお願いして自主的 にゼミをやっていました。自分たちで本 をじっくり読み進めて、仲間と議論した り、教授にご指摘を頂いたり......そんな ふうに数学にだけ集中して取り組めたの が大きかったと思います。
余談だけど、よく昼夜は逆転してし まっていましたね。数学に熱中し始める となかなか止まらなくて、気がついたら 外が明るいんですよ。だから実は授業が 始まってからも良い学生とはまったくい えませんでしたね。


京大について
 やはり自由の学風というのは魅力的ですね。私がフィールズ賞を受賞できたのも、学生時代に好きなだけ数学をやることができたからだと思っています。単位にならない上回生向けの講義の聴講が許可されるなど、良い意味で無駄なことを許容する環境がありますね。
 ただ、自由の副作用というか、自由を享受してばかりで責任を放棄してしまう人が多いのは良くないことですね。私自身責任を全うした学生だったかと聞かれると、そこは疑問なんですけど。
研究者の立場から言わせてもらうと、 京大にはスティーブ・ジョブズみたいな 人が多いと思う。みんながあっちなら自分はこっち、というのが京大の研究です。 悪くいえば、ある技術のある性能を少し ずつ向上させていくような研究にはあんまり向いていないかもしれません。でも、 良い意味でとんでもないことをしでかそ うとしている人が多い。
 そういう雰囲気が自分に合っていると感じますね。学生としても研究者としても、京大を選んで良かったと思います。

新入生に一言
 勉強に関しては、疑問に思ったことを簡単に解決してしまわないで、問題意識としてしっかり持っていることが大事だ
と思います。これは研究者を目指す人には特に意識してほしいことですね。
それと自由の学風だからこそ、自分か ら積極的に動いていってほしい。数学だ と、大学でつまずいてしまう人は多い。 それは教員側の問題でもあるのは確かだ けど、そこで不満を垂れて終わってはい けない。理解できないなら、友人と自主 ゼミを開いてみる、教員に直接聞いてみ る、図書館の本で調べてみる......自分か ら働きかけることによって変わってくる ことは多いはずです。
 なんにせよ、何かしないともったいないですよ。学問であれ部活であれ、自分の好きなことにだけ集中できるのは大学時代くらいです。なんでもいいから自分の好きなことをやって、有意義な大学生活を送ってほしいものですね。
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2016/9/9
京大数理研 スターの宝庫 数学者列伝

京都市左京区にある京都大学数理解析研究所。国内で唯一の数学研究所として、現代の優れた数学者を輩出し続けている。

数理研が発足したのは1963年。当時、国内の大学で数学研究所の設立を検討していたところ、数学の研究者が多く活動していた京大に白羽の矢が立った。


現代の数学者を輩出する京都大学数理解析研究所(京都市左京区)


数理研に在籍した研究者はスターぞろいだ。「数学のノーベル賞」といわれるフィールズ賞は日本では3人しか受賞していない。そのうち2人が広中平祐博士(京大名誉教授)と森重文博士(京大特別教授)だ。また金融工学の基礎を築き「ウォール街で最も有名な日本人」といわれた伊藤清博士も60~70年代に在籍した。

数理研の人員は40人程度。国内外の研究者らが参加する研究集会が所内で頻繁に開かれ、少数精鋭で密度の濃い議論が繰り広げられる。森博士は数理研の魅力について「最先端の知識が得られる」と語る。

それでも研究所は決して順風ではない。政府が科学技術予算の配分で再生医療など新産業の育成につながる分野に軸足を移しているからだ。数学は地味といわれ、文部科学省科学技術政策研究所(当時)が「忘れられた科学―数学」という報告書をまとめたこともある。研究予算や人員は厳しく、今後の運営に不安も尽きない。

数理研の向井茂所長は優れた研究者をこれからも輩出するには「若い人に自由な研究をしてもらう環境づくりが大切だ」と力を込める。数学はほかの科学分野に比べて若い時期に優れた研究成果を上げるケースが多いからだ。

関西では商人や庶民が数学を支えてきた歴史がある。向井所長は「民間からの寄付も募っていきたい」と語る。


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2009年2月6日 フェルマー予想 斎藤 毅 7452円 岩波オンデマンド

2009年2月6日 フェルマー予想 斎藤 毅 7452円 岩波オンデマンド

フェルマー予想 斎藤 毅 岩波オンデマンド

ワイルスによるフェルマー予想の証明を解説する.20世紀整数論の輝かしい成果と将来展望を示した比類のない労作.


内容説明
350年以上前にフェルマーが本の余白に書き残した「フェルマーの最終予想」は、多くの人の努力のあと非常に高等な数学を用いて1994年に解決された。このワイルスによるフェルマー予想証明を解説。読者が証明の道程で迷わぬよう、複雑な構造を解きほぐして示す。はじめにフェルマー予想証明の大まかなみちすじを提示。フェルマー予想を楕円関数、保型形式などと結びつける。そののち証明に用いるガロア表現など基本的対象を構成し、証明の真髄である定理など詳細を解説、証明を完成させる。


目次

あらすじ
楕円曲線
保型形式
Galois表現
3分点と5分点
R=T
可換環論
変形環
スキームについての補足
Z上のモジュラー曲線
保型形式とGalois表現
Hecke加群
Selmer群


著者等紹介
斎藤毅[サイトウタケシ]
1961年生まれ。1987年東京大学大学院理学系研究科数学専攻退学。現在、東京大学大学院数理科学研究科教授。専攻は数論幾何(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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第0章 あらすじ
§0.1 簡単ないいかえ
§0.2 楕円曲線
§0.3 楕円曲線と保型形式
§0.4 楕円曲線の導手と保型形式のレベル
§0.5 楕円曲線の6分点と保型形式

第1章 楕円曲線
§1.1 体上の楕円曲線
§1.2 素数pでの還元
§1.3 準同型とTate加群
§1.4 一般のスキーム上の楕円曲線
§1.5 広義楕円曲線

第2章 保型形式
§2.1 j不変量
§2.2 モジュライ
§2.3 モジュラー曲線,保型形式
§2.4 モジュラー曲線の構成
§2.5 種数公式
§2.6 Hecke作用素
§2.7 q展開
§2.8 準素形式,素形式
§2.9 楕円曲線と保型形式
§2.10 準素形式,素形式とHecke環
§2.11 解析的表示
§2.12 q展開と解析的表示
§2.13 q展開とHecke作用素

第3章 Galois表現
§3.1 Frobenius置換
§3.2 Galois表現と有限群スキーム
§3.3 楕円曲線のTate加群
§3.4 保型的なl進表現
§3.5 分岐条件
§3.6 有限平坦群スキーム
§3.7 楕円曲線のTate加群の分岐
§3.8 保型形式のレベルと分岐

第4章 3分点と5分点
§4.1 定理2.54の証明
§4.2 定理0.1の証明のまとめ

第5章 R=T
§5.1 R=Tとは?
§5.2 変形環
§5.3 Hecke環
§5.4 可換環論
§5.5 Hecke加群
§5.6 定理5.22の証明の概要

第6章 可換環論
§6.1 定理5.25の証明
§6.2 定理5.27の証明

第7章 変形環
§7.1 関手とその表現
§7.2 存在定理
§7.3 定理5.8の証明
§7.4 定理7.7の証明

付録A スキームについての補足

§A.1 いろいろな性質
§A.2 群スキーム
§A.3 有限群による商
§A.4 平坦被覆
§A.5 G捻子
§A,6 閉条件
§A.7 Cartier因子
§A.8 スムーズ可換群スキーム

第8章 Z上のモジュラー曲線

§8.1 標数p〉0の楕円曲線
§8.2 巡回群スキーム
§8.3 Drinfeldレベル構造
§8.4 Z上のモジュラー曲線
§8.5 モジュラー曲線Y(r)z1/r
§8.6 井草曲線
§8.7 モジュラー曲線Y1(N)z
§8.8 モジュラー曲線Y0(N)z
§8.9 コンパクト化

第9章 保型形式とGalois表現

§9.1 Z係数のHecke環
§9.2 合同関係式
§9.3 保型的な法l表現と非Eisensteinイデアル
§9.4 保型形式のレベルとl進表現の分岐
§9.5 旧部分
§9.6 ヤコビアンJ0(Mp)のNéronモデル
§9.7 保型形式のレベルと法l表現の分岐

第10章 Hecke加群

§10.1 充Hecke環
§10.2 Hecke加群
§10.3 命題10.11の証明
§10.4 変形環と群環
§10.5 もちあげの族
§10.6 命題10.37の証明
§10.7 定理5.22の証明

第11章 Selmer群

§11.1 群のコホモロジー
§11.2 Galoisコホモロジー
§11.3 Selmer群
§11.4 Selmer群と変形環
§11.5 局所条件の計算,命題11.38の証明
§11.6 定理11.37の証明

付録B 離散付値環上の曲線

§B.1 代数曲線
§B.2 離散付値環上の準安定曲線
§B.3 離散付値環上の曲線の双対鎖複体

付録C Zp上の有限平坦可換群スキーム

§C.1 Fp上の有限平坦可換群スキーム
§C.2 Zp上の有限平坦可換群スキーム

付録D 代数曲線のヤコビアンとNéronモデル

§D.1 代数曲線の因子類群
§D.2 代数曲線のヤコピアン
§D.3 Abel多様体のNéronモデル
§D.4 曲線のヤコビアンとNéronモデル
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「フェルマー予想 斎藤 毅 7452円 岩波オンデマンド」を読むための基礎


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N.コブリンツ著(上田勝〔ほか〕訳)『楕円曲線と保型形式』
土井公二/三宅敏恒著『保型形式と整数論』
志村五郎著『Introduction to the theory of automorophic functions』
J.H.シルヴァーマン・J.テイト著(足立恒雄〔ほか〕訳)『楕円曲線論入門』
Knapp著『Elliptic curves』
河田敬義著『数論I, II, III』
藤崎源二郎・森田康夫・山本芳彦著『数論への出発』
上野健爾著『代数幾何学入門』
肥田晴三著『Elementary theory of L-functions and Eisenstein series』
清水英夫著『保型関数I, II, III』
廣中平祐著『代数幾何学』(森重文 記録)
宮西正宣著『代数幾何学』

T. Miyake, Modular forms
J. H. Silverman The Arithmetic of Elliptic Curves (Graduate Texts in Mathematics)
R. Hartshorne, Algebraic Geometry(Graduate Texts in Mathematics. 52), Springer (1977)

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フェルマーの最終定理・佐藤-テイト予想解決への道【類体論と非可換類体論1】 (岩波オンデマンドブックス)¥2,916

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一般の人のおすすめの本

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文系用読者:「教育者」としてのあの頃の感覚として読む
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フェルマーの最終定理 【著者】サイモン•シン(青木薫 訳) 【発行】新潮社(新潮文庫)
整数に関する問題は、問題を理解するのはやさしいが解くのはとてつもな く難しいことが多い。この本の表題ともなっている「フェルマーの最終定理」 の証明もそのような整数問題の1つであり、アマチュア・プロを問わず 300 年もの間、多くの数学者の挑戦を退けてきた問題である。1995 年最終的に 証明を成し遂げた勝者はアンドリュー・ワイルズという数学者であった。し かし、その証明への取り組みは試練に満ちており、7年間の隠密行動、そし て1度は証明できたと発表して、その後証明に穴があることがわかり1年余 りの間、公にさられた状態での穴埋め作業の末ようやく証明完了というドラ マが書かれています。谷山、志村、岩澤、肥田といった日本人数学者もからみ、困難な問題にチャレンジする人間模様を描いた物語として、一読を。
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理系用読者:「数学者」としてのあの頃の感覚として読む
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【書名】「解決!フェルマーの最終定理 現代数論の軌跡」加藤和也著、日本評論社
( フェルマーの大定理が解けた!―オイラーからワイルズの証明まで (ブルーバックス) 足立恒雄著 新書 )
( フェルマーの大定理―整数論の源流 (ちくま学芸文庫) 足立恒雄著 )
 

  1993年6月23日に、プリンストン大学のA.ワイルスが、フェルマーの最終定理の証明を宣言し、その後、証明の不備が見つかり、1年以上に苦考の末、1994年9月19日にその修正に成功したこの期間に、著者が証明の解説として数学セミナー読者向けに書いたものを集めたものである。厳密性はないが、極力丁寧に、正確に伝えようとする、著者の誠実さと、理解の深さが伝わってくる。原論文の 1. A. Wiles; Modular elliptic curves and Fermat's last theorem, 2. R. Taylor, A. Wiles; Ring theoretic properties of certain Heck algebras にも、整数論にも、非常に惹きつけられる内容だった。購入時にも読んだと思われるが、詳しく覚えていないところをみると、理解しようとはしていなかったのかもしれない。むろん、今回も十分な時間をかけて読んだとは言えないが。
 
以下は備忘録
「砂田利一『基本群とラプラシアン、幾何学における数論的方法』」(p.37)「ワイルス『ぼくは、フライとリベットの結果を知ったとき、風景が変化したことに気がついた。(中略)この時まで、フェルマの最終定理は、何千年間もそのまま決して解かれることがなく数学がほとんど注目することがない数論の他の[散発的かつ趣味的な]ある種の問題と同じようなものに見えていた。フライとリベットの結果によって、フェルマの最終定理は、数学が無視することのできない重要な問題の結果という形に変貌したのだ。(中略)ぼくにとって、そのことは、この問題がやがて解かれるであろうと言うことを意味していた』」(p.67)「清水英夫著『保型関数I, II, III』、志村五郎著『Introduction to the theory of automorophic functions』、Knapp『Elliptic curves』、河田敬義著『数論I, II, III』、藤崎源二郎・森田康夫・山本芳彦著『数論への出発』、上野健爾著『代数幾何学入門』、J.H.シルヴァーマン・J.テイト著(足立恒雄〔ほか〕訳)『楕円曲線論入門』、土井公二/三宅敏恒著『保型形式と整数論』、肥田晴三著『Elementary theory of L-functions and Eisenstein series』、吉田敬之著『保型形式論: ─現代整数論講義─』、N.コブリンツ著(上田勝〔ほか〕訳)『楕円曲線と保型形式』」(p.123,4)「田口雄一郎さんの手紙に『Deligne さんの家はこの道の始まりのところ、森の入り口にあります。Deligne さんといへども、森羅万象の真理の最奥に至る道のほんの入口のところにゐるに過ぎないといふ、これは自然による卓抜な比喩であると思われます。ところが、恐ろしいことに彼の子供たちは毎日この道を通って森のむかうの学校に通ってゐるらしいのです。』とありました。フェルマーからの350年は大進歩でしたが、人類が続いてゆけば、それは今後何千年の数学の序曲であり、何段も何段も自然の深奥への新しい段階があることでしょう。」(p.239)「ガウス『どのように美しい天文学上の発見も、高等整数論が与える喜びには及ばない』ヒルベルト『数論には古くからの問題でありながら、今日も未解決のものが少なくない。その意味で、多くの神秘を蔵する分野であるが、他方、そこで展開される類体論のような、世にも美しい理論がある』」(p.245)「岩澤健吉『代数体と、有限体上の一変数関数体は、どこまでも似ていると信じてよい』」(p.246)「志村五郎は『整数論いたる所ゼータ関数あり』と述べたが今その言葉に『ゼータ関数のある所 岩澤理論あり』と続けて考えたい」(p.261)『ゼータ関数のある所 肥田理論あり』ともいえる。
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原論文の
 1. A. Wiles; Modular elliptic curves and Fermat's last theorem, 
 2. R. Taylor, A. Wiles; Ring theoretic properties of certain Heck algebras
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論文集 (志村五郎)
Collected Papers. I: 1954-1965 (Hardcover ed.). Springer. (2002). ISBN 978-0-387-95406-6.
Collected Papers. II: 1967-1977 (Hardcover ed.). Springer. (2002). ISBN 978-0-387-95416-5.
Collected Papers. III: 1978-1988 (Hardcover ed.). Springer. (2003). ISBN 978-0-387-95417-2.
Collected Papers. IV: 1989-2001 (Hardcover ed.). Springer. (2003). ISBN 978-0-387-95418-9.
など
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