2008年8月27日 「可換体論」『可換環論』の永田雅宜先生の逝去 (ご冥福をお祈りします。)


「可換体論」永田雅宜(著)(私のお気に入りの書籍) 「シローの定理」に感動!「ガロア理論」や「正17角形の作図可能」など 


可換環論 永田 雅宜

永田雅宜先生の『可換体論』、『可換環論』を読み。

問題集
新修代数学 永田雅宜 |2017/10/24
大学院への代数学演習 永田 雅宜   2006/6/1
で学習した。

受験生用
高校生 理系のための数1 永田雅宜(著)
高校生 理系のための基礎解析 永田雅宜(著)
高校生 理系のための代数幾何 永田雅宜(著)
高校生 理系のための微分積分 永田雅宜(著)
などで、生徒に教えていた。

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永田雅宜

永田 雅宜(ながた まさよし、1927年2月9日 - 2008年8月27日)は、日本の数学者。京都大学名誉教授。理学博士(京都大学)。正四位勲二等瑞宝章。愛知県知多郡大府町峯畑(現・大府市若草町)出身。


愛知県刈谷中学校(現・愛知県立刈谷高等学校)卒業
1950年、名古屋大学理学部数学科卒業
名古屋大学助手
京都大学講師
1957年
渡米、ハーバード大学研究員
7月、京都大学理学部数学科助教授(代数学講座)
1958年、ICM招待講演(エディンバラ)
1963年2月、京都大学理学部数学科教授(代数学講座)
1980年11月、京都大学評議員(1982年11月まで)
1990年
3月、京都大学退官
4月、京都大学名誉教授 岡山理科大学理学部教授
1999年
岡山理科大学退職
兵庫県多可町八千代区の小学生に数学を教える。
2008年8月27日、胆管がんにて逝去。81歳没。

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業績
1960年代、1970年代に可換環論と代数幾何学の基礎付けにおいて大きな業績を残した。不変式論(英語版)を用いてヒルベルトの第14問題(英語版)の反例を構成し否定的に解決した。他にも代数多様体のコンパクト化、ネーター環における業績がある。
ヒルベルト第14問題を否定的に解決した論文は僅か7ページだった。

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人物
家族
息子は京都大学数理解析研究所助教の永田雅嗣。
(奥様は、永田千種は、元同志社高校の教員でした。)
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著作
『近代代数学』(現代数学講座)(秋月康夫との共著)共立出版、1957年。
『代数幾何学』(現代数学講座)(中井喜和との共著)共立出版、1957年。
『Local rings』John Wiley & Sons、1962年。
『可換体論』裳華房、1967年。
『抽象代数幾何学』(宮西正宜、丸山正樹との共著)共立出版、1972年
『可換環論』紀伊國屋書店、1974年。
『代数学入門』(吉田憲一との共著)培風館、1996年。
『集合論入門』森北出版 、2003年。
『抽象代数への入門』朝倉書店、2004年。
『群論への招待』現代数学社、2007年。

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数学の巨人 永田雅宜  ~ひたむきに歩き続けた人生~



世界に衝撃を与え続けた数学者・永田雅宜の伝記。学校の先生になりたかった少年は、刈谷中学校時代にメモを使った勉強法を実践することで「覚える数学」から「考える数学」へ転換、数学の喜びを体験し数学の道を志した。自由な雰囲気の中で数学の新しい問題に挑戦していった名古屋大学時代。出会った人々に薦められ、助けられて京都大学から研究員として渡米したハーバード大学時代。そこで証明した「ヒルベルトの第14問題」、しかも否定的回答(反例による証明)で世界に衝撃を与え、永田を「ミスター・カウンター・エグザンプル」と言わしめた。世に出した論文は100以上。研究者としてだけではなく、教育者としても優秀な人材を育て続け、また弟子たちも永田の後姿を見て歩き続けた。「数学は、覚えるのではなく考える。考えてわかる。わかるということがうれしくて続けてきた」という永田。考え続け、答えを求め続け、ひたむきに歩んできた永田雅宜の人生を追いました。

キャスト : 永田雅宜 京都大学、丸山正樹 京都大学、森重文 京都大学、臼井三平 大阪大学、永田千種

動画

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メモ
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可換体論   京都大学名誉教授 理博 永田雅宜(著)
可換体論 永田 雅宜


0.集合についての予備知識
1.群,環,体
2.有限次代数拡大体
3.超越拡大体
4.付値
5.実体
6.無限次代数拡大体のGalois理論
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詳細目次  

新版 序
旧版 序

0.集合についての予備知識
 0.0 基本的記号
 0.1 写像
 0.2 順序集合
 0.3 類別と同値律

1.群,環,体
 1.1 群
 1.2 正規部分群と準同型
 1.3 環と体
 1.4 整域と素イデアル
 1.5 多項式環
 1.6 素元分解の一意性
 1.7 加群
 1.8 対称式と交代式
 問題

2.有限次代数拡大体
 2.1 基本概念
 2.2 分解体
 2.3 分離的と非分離的
 2.4 有限体の乗法群
 2.5 単純拡大
 2.6 正規拡大
 2.7 有限群の不変元
 2.8 Galoisの基本定理
 2.9 1のべき根,巡回拡大体
 2.10 方程式の可解性
 2.11 作図の可能性
 2.12 代数的閉体
 問題

3.超越拡大体
 3.1 超越基
 3.2 体の上のテンサー積
 3.3 微分作用素
 3.4 分離的拡大体
 3.5 正則拡大
 3.6 Noether環
 3.7 整拡大と素イデアル
 3.8 多項式環の正規化定理
 3.9 整閉包
 3.10 代数多様体
 3.11 Ci
       Ci条件
 3.12 Lürothの定理
 Appendix 付値環についての一定理とその応用
 問題

4.付値
 4.1 乗法付値
 4.2 有理数体の付値
 4.3 位相
 4.4 位相群,位相体
 4.5 完備化
 4.6 Archimedes付値と絶対値
 4.7 加法付値と付値環
 4.8 近似定理
 4.9 付値の拡張
 4.10 積公式
 4.11 Henselの補題
 問題

5.実体
 5.1 順序体,実体,実閉体
 5.2 実閉包
 5.3 Hilbertの第十七問題
 5.4 順序に対応する付値
 問題

6.無限次代数拡大体のGalois理論
 6.1 Galois群の位相
 6.2 Galoisの基本定理
 6.3 分解体,惰性体,分岐体
 6.4 高次方程式
 問題

解答およびヒント
索引
記号索引
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可換環論 永田雅宜(著)

可換環論は,数学の種々の分野に現われる可換環(函数や整数のなす環など)及びそれらの上の加群の一般的扱いが重要な発展の動機となって進展してきている現代数学の基礎的分野の一つである。本書は,主としてイデアル論の立場から,代数幾何学,抽象代数学,整数論などと密接な関連をもたせつつ,広く数学を学ぶ人を対象にていねいに解説した好著である。
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永田雅宜先生を送る会のお知らせ


永田雅宜先生は、昨年初秋からの闘病の甲斐もなく、本年8月27日に逝去されました。

 永田先生は可換環論と代数幾何学のリーダーとして数々の業績を挙げ、世界を驚かせてきました。今日Nagata ringと呼ばれる擬幾何環についての精力的な研究は「ネター環の密林の中で安全に探索できる領域を見つけ出し」、また「幾多の病理学的例により、その領域の境界を指し示し」(L. Illusie) ました。局所環のヘンゼル化理論の創始と完成は殆ど全て永田先生によるものであり、後のétale射、代数空間理論の基礎になるものです。正則局所環が素元分解環であることの決着に永田先生が中心的役割を果たされたこともよく知られています。

 デデキント環上の代数幾何学についての一連の業績は、後のスキーム理論など代数幾何学の基礎付けに計り知れない影響を与えました。全ての代数多様体は完備代数多様体の開集合であるという、代数幾何学になくてはならない定理は、射影的でない非特異3次元完備代数多様体と正規完備代数曲面の例の構成と相俟って、完備代数多様体の位置づけを明確にしたものです。

 可換環論と代数幾何学を深く洞察した永田先生の研究は、不変式論の世界を塗り替えてしまったといっても過言ではないでしょう。代数群の多項式環への有理作用について、その不変式全体は有限生成代数になるであろうというHilbertの第14問題に対する反例は、代数幾何学と不変式の専門家を震撼させるとともに、この分野が想像以上に複雑かつ豊かなものであることを示しました。正標数の場合でも簡約可能群が不変式の有限性についての十分条件であることを導くMumford予想の重要性を早くから指摘して、この予想の肯定的解決が主張する不変式論における結果とその代数幾何学への応用を明らかにしました。

 学術コミュニティにおいては日本数学会の理事、学術会議会員、国際数学連合の副会長などの要職を務められ、数学の発展だけでなく、学界における数学の位置づけを向上させることに意を尽くされたこともよく知られています。

 永田先生は京都大学で理学部選出評議員として大学の管理・運営に多大の貢献をされ、「入学者選抜方法研究委員会」で大学入学試験について先生の高い見識を発揮されました。入学試験における数学者の役割の重要性を早くから主張したのも永田先生です。京都大学退職後は岡山理科大学で学生の指導に当たり、その後は兵庫県八千代町で子供たちに数の面白さ、自分で考えることの重要性などを伝え、ご自身の教育についての夢を追われたと伺っています。

 永田先生の御遺徳、御遺業を偲び、皆様と語り合う「お別れ会」を下記のように企画いたしました。奥様の永田千種様も御参加いただけると伺っています。連休の中日ですが、万障お繰り合わせの上、御参加いただくよう御願い申し上げます。

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代数幾何か?可換環論か?数論幾何か?

昨夜は寝る前に読んでいたEisenbud & Harris "The Geometry of Schemes" の内容が、そのまま夢の中にガンガン出て来て、眠りが浅かった。夢の中でス キームの平坦ファイバー空間におけるファイバーの変形の例を一所懸命計算し ていて、最後の方がよくわからなくなってのたうち回っていたように思う。ま あ、古色蒼然たる古典的不変式論の論文で大チョンボをする夢よりはましだろ う。

午前中に大学へ。昨日目星をつけておいた、Hartshorneのスキーム論の演 習問題の解答をノートに書き下す作業から始め、夕方頃まで問題解きにふける。 S先生はまたシステム管理のために大学に来ていた。

代数幾何の勉強は、「折に触れてぼつぼつ」という感じでやっているが、 半年ぐらい(あるいは1年近く?)どこかに籠って毎日そればかりに専念すれば、 たぶんHartshorne "Algebraic Geometry"をほぼ読み終えることができると思 う。この本を読了すれば代数幾何の最先端の研究への準備は終了した事になろ う。つまり、現代の代数幾何の論文で使われている「言葉」が理解できるよう になる(それ以上の意味は無いと思う)。あとは、自分が興味が持てる論文をい くつか読んで、場合によってはあるテーマに特化した総合報告や関連する分厚 い(?)テキストを読んで自分の問題を考えて行く事ができよう。でも、代数幾何を専門にする勇気は無いから、やはり可換環論研究のバックグラウンドを固 めるつもりで、「折に触れてぼつぼつ」というペースを続けることだろう。

代数幾何か?可換環論か?という観点からすると、全国的に見て、優秀な学生 は代数幾何に流れる事が多いようだ。(もっと優秀な学生は、代数幾何をやっ た上で数論幾何に進むようである。)研究者人口も可換環論に比べて代数幾何 の方がはるかに多い。また、理学部数学教室のポストも、主だった大学には整 数論と並んで代数幾何のポストがあるが、可換環論のポストは無い事が多い。 (しかし日本国内の可換環論の研究者人口や大学教員のポストの数は、プログ ラム理論系、計算理論系、離散数学系等を全て合わせた理論計算機科学の研究 者総数や大学教員のポストの数よりも多い。)可換環論の世界的指導者みたい な教授でも、研究者養成機関にはほど遠い大学にとどまっているケースが多い ようだ。多くの研究者は、地方国立大学や私立大学に散らばっている。

可換環論を目指す学生の指導は、代数幾何の教員が兼任で行う事が多い。 しかし、永田雅宜先生や松村英之先生の時代と違って、代数幾何と可換環論は それぞれ独自の発展を遂げたため、最近では代数幾何の研究者が同時に可換環 論の研究者である事は少ない。従って、大学院生レベルになると指導教官の直 接指導はあまり望めず、自分ひとりで勉強する事が多いようだ。もっとも大学 院生ぐらいになってくると、全国の大学に散らばっている指導者的教授達と直 接コンタクトを取って勉強している事が多いようである。

では、これから数学者を目指す若い人は代数幾何と可換環論のどちらを選 ぶべきだろうか?代数幾何の方がポストが多いが、一騎当千の若手研究者達が ポストの数の何倍もひしめいている事は確かである。東大、京大、早稲田の純粋 培養超秀才以外が代数幾何で然るべきポストを得る事は至難の技だと思って よい。しかし、可換環論はそうでもない。超エリート校以外の出身者でも、何 らかの形で数学者のポストについて、立派な研究を次々に行っている例は少な くない。勿論、全国的に数学者のポストは単調現象傾向で、数学者のポストを 得る事は大変困難な事には違いないが、立命館の学生によりチャンスがあるのは 、代数幾何よりも可換環論の方だろうと思う。

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永田雅宜「可換環論」は名著M. Nagata "Local rings"の日本語版みたいな もので、読みにくさでは定評がある。うんうんうなって1週間に1行なんて調 子で読んでいると、学生時代なんかあっと言う間に過ぎてしまう。 Grothendieckが関数解析から代数幾何に転向しようとしたとき、"Local rings"を読んであまりの難しさに音を上げ、「こんなことなら、自分で考えた 方が早い」と思いスキーム論を作ったという話を聞いたことがある。かなり脚色 の入った話だと思うが、天才Grothendieckらしい話なので、私は割合気に入っ ている。それ以外にホモトピー論で若くしてフィールズ賞を取ったJ. P. Serreが なぜ代数幾何(後に数論)に転向したか?それは同じくホモトピー論を やっていた、composition methodの戸田宏博士にはかなわないと思ったからだ、 という話を聞いた事もある。こういう世界的研究者達の裏話というのは、 即物主義的な工学の世界ではなかなか聞けないものである。 (生臭い人事や派閥の話はよく聞くが。)

可換環論は永田「可換環論」で展開されているイデアル論の世界を越えて、 J.P.Serreらによってホモロジー代数を縦横無尽に使う世界に生まれ変わった。 これからの若い人が永田先生の本でこの世界に入ることは ないだろう。しかし、ぼろぼろになった「可換環論」は今でも私の宝物である。
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午前は「数理モデル論」午後は「離散数学」の講義。夕方は臨時学系会議。 事実上今日が後期終了日だ。 spectral sequenceはなかなか面白いので、もう少し読んでから Avramovのlecture noteに戻ろう。

そういえば今読んでいるホモロジー代数の本の著者J. Rotmanは、最近シュ プリンガー・フェアラーク東京から日本語版が出た「ガロア理論 Galois Theory」の著者と同一人物らしい事がわかった。この本は大変良さそうなもの なので、卒研のガロア理論のテキストに使おうかとも思ったが、必要な事実の 多くを演習問題に回して全体の記述を簡素化する形を取っており、情報学科の 学生には無理だと思って結局アルティンのテキストにした。

Rotmanの「ガロア理論 Galois Theory」は、数理科学科の卒研に最適なの ではないだろうか、と一瞬だけだけど思う。ガロア理論は3回生の講義で習っ ているが、R大学では3回生以上の演習の時間が無いし、きちんと理解してい る学生は少数ではないだろう。4回生の前半で、代数の演習のつもりでRotman の本を読んで腕力をつけて、後半はAtiyah & MacDonald のIntroduction to Commutative Algebraをしっかり読む。そうすれば、大学院ではEisenbud "Commutative Algebra with a View Towards Algebraic Geometry"や Matsumura "Commutative rings theory"やRotman "An Introduction to Homological algrebra"の必要な所を参照しながら、Bruns & Herzog "Cohen-Macaulay rings"を読めるはずだ。そしてM2ぐらいから適当な論文を2~ 3検討すれば、まあ何とか修論は書けると思う。

しかしこんな具合に進める事はまずあり得ないだろう。4回生前半は就職 活動等でゼミは潰れ、後半にやっとゼミが開始され、Rotmanの本が半分ぐらい 進んだところで全員卒業。皆さん良い社会人になってくださいって事になると 思う。Bruns & Herzogは半分ぐらい読めば十分なのだが、この本は私は国内留 学した時に京大数理研に半年こもってうんうんうなってやっと半分読めた難物 だし、Atiyah & MacDonaldも今読めば明解で良い本だが、私の経験から言って も明解な本というのは学生にとっては地獄の日々を約束する。やはり卒研ゼミは Miles Ried "Undergraduate Algebraic Geometry"あたりを「読める所まで 読んで終り」とした方がいいかも知れないなあ。

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