素数の歌はとんからり 「数学(整数論):志村五郎、岩沢健吉 高木貞治・・」  (京大教授の加藤和也 と  東工大教授の黒川信重) 



1、2、3……と数を数えるようになって、人間は数学を始めた。その最も基礎を作るのが、2、3、5、7……という、1とそれ以外に割り切る数がない数、素数だ。小川洋子(おがわ・ようこ)(44)のベストセラー「博士の愛した数式」の主人公が最も愛したのは素数だった。

 京大教授の加藤和也(かとう・かずや)(54)も素数の不思議に魅入られてきた。

 素数の歌はとんからり

 とんからりんりんらりるれろ

 耳を澄ませば聞こえます

 楽しい歌が聞こえます

 

 素数の歌はちんからり

 ちんからりんりんらりるれろ

 声を合わせて歌います

 素数の国の愛の歌

 自作「素数の歌」は彼の研究のすべてを表している。たとえば、1番は「素数は、耳を澄まさないと(よく研究しないと)聞こえない(理解できない)」という教訓だし、2番は「ひとつひとつバラバラに見える素数にも相互の関係や全体の構造がある」という意味を込める。講義の最後には、時には踊りも付けて披露している。

 昨年6月、日本学士院賞と恩賜賞を受けた加藤は、皇居でこの「素数の歌」を歌って、天皇、皇后に自らの研究を説明した。後日、皇太子から「ずいぶん面白く説明してくれたので、皇后陛下は喜んでいた」と聞いた。

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 素数など整数の性質を研究する整数論。95年に解決されたフェルマー予想、最難問といわれるリーマン予想はいずれもこの分野の問題であり、ドイツの大数学者カール・フリードリッヒ・ガウスは、整数論を「数学の女王」と呼んだ。問題を解くのに、あらゆる数学の知識を「しもべ」のごとく扱わねばならないからだ。

 そんな整数論は、日本のお家芸である。日本の数学を世界レベルに引き上げた高木貞治(たかぎ・ていじ)が、1920年、素数と素数の関係をあきらかにする「類体論」を創始したのがきっかけだった。戦後も岩沢健吉(いわさわ・けんきち)、志村五郎(しむら・ごろう)(76)らきら星のように世界的数学者が輩出している。加藤もその系列に属する。

 加藤は東大2年の秋、いったん進学を決めた航空学科がまったく自分に向かないことを悟った。「私は実際的なことはまるでだめ。飛行機の設計なんかしたら恐ろしいことが起こる」。留年中に、高校時代の友人から借りた代数学の教科書を見て、数学に目覚めた。類体論を高度化させ、数の性質を高度な幾何学を駆使して探る「数論幾何学」という新分野のパイオニアともなった。

 加藤の盟友の一人が、東工大教授の黒川信重(くろかわ・のぶしげ)(54)だ。2人とも、ありとあらゆる素数の情報を含む関数「ゼータ(ζ)」=数式参照=にほれこみ、朝起きて夜寝るまで、ゼータについて議論し続けたこともあった。黒川は「すべての話がゼータしていた」と加藤との至福の時間を振り返る。

 しかし、加藤ほどみかけが学者らしくない学者はいないだろう。彼の教授室には紙束が乱雑に積まれ、自分でも何がどこにあるかよくわからない。よれよれのワイシャツ姿で講義に現れ、ちょっと猫背で黒板の前をうろつき回る。

 大学院生に対する指導も変わっている。加藤が助手時代に初めて指導した斎藤秀司(さいとう・しゅうじ)(49)との「教室」は山の中だった。ノートを携えて、歩きながら2人で数学の構想を練る。それから20年余り、東大教授として学生を指導する斎藤は、山々の向こうに数学の真理が見える気がしたのを覚えている。

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 国際数学者会議が今年8月、スペインで開かれた。4年ごとのこの会議で、加藤は1時間の特別講演を依頼された。講演当日、スクリーンに映し出されたのは数式ではなく、日本昔ばなしの「鶴の恩返し」の挿絵だった。「鶴が人間の中で美しい織物を織り上げたように、ゼータ関数は関数の世界から代数の世界に入って美しい公式を織り上げる」と説明すると、会場からは大拍手が起こった。

 数、図形、記号、式……数学は人の脳からあふれ出た思考からできる世界だ。そこに住む純粋で不思議なヒトビト(人々)と、そのなぞの世界を歩き回った。


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フェルマーの最終定理やBSD予想は,整数解や有理数解についての話ですが,それがゼータ関数に関わります.志村五郎さんが言ったように「整数論いたる所ゼータ関数あり」という感じです.(加藤和也)

志村多様体は,代数多様体といわれる代数的な対象であるが,その上に保型形式という解析的な対象が住んでおり,志村多様体は代数側と解析側の橋渡しをし,また,ガロア表現やそのゼータ関数の源となるものである.現在,志村多様体の研究がさかんになされている.(加藤和也)
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素数とは何かという根本問題につながる数学の超難問リーマン予想。ヴェイユ、グロタンディークなど名だたる数学者の果敢な挑戦を受けつつも今なお難攻不落である。なぜリーマン予想は難しいのか。解決に誰も成功しなかったのはどこに原因があったのか。数学者リーマンが提起してちょうど150年という節目に、その苦闘の歴史を辿る。また解決にあたっては、リーマンが夢見た「ゼータ革命」ともいうべき原点に立ち返るべきだと主張する。(黒川重信)

"絶対ゼータ関数論"  - 絶対ゼータ関数、絶対体、絶対代数、絶対ラングランズ対応、絶対極限公式、絶対オイラー積……『オイラー、リーマン、ラマヌジャン』(黒川重信)

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参考
2013 1010頃
数学者が読んでいる本ってどんな本 小谷元子(編集) 東京書籍 森重文 (著), 上野健爾 (著), 足立恒雄 (著),砂田利一 (著), 黒川信重 (著),小谷元子 (著, 編集), 益川敏英 (著), 野崎昭弘 (著), & 5 その他 など
 
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小川洋子 
1962年岡山市生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。88年「揚羽蝶が壊れる時」で海燕新人文学賞を受賞。91年「妊娠カレンダー」で第104回芥川賞を受賞
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( 日本にも「ガウス」はいた! ガウスは、数学の女王は、「整数論」といった! 谷山・志村は「すべての楕円曲線はモジュラーである」といった。)

「日本の「ガウス」である1つの理由
【今日の数学者】2月23日はガウスの命日であり、志村-谷山予想の志村五郎先生のお誕生日であり、フィールズ・メダリストの森重文先生のお誕生日です。」

志村五郎先生 か 森重文先生 か 両先生か

「すべての楕円曲線はモジュラーである」  ( 「谷山=志村予想」は、「志村予想」だった! 先生の「誠実さ、優しさ」)数学の統一理論にも貢献!
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フェルマーの最終定理 【著者】サイモン•シン(青木薫 訳) 【発行】新潮社(新潮文庫) / 「解決!フェルマーの最終定理 現代数論の軌跡」加藤和也著、日本評論社

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文系用読者:「教育者」としてのあの頃の感覚として読む
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フェルマーの最終定理 【著者】サイモン•シン(青木薫 訳) 【発行】新潮社(新潮文庫)


整数に関する問題は、問題を理解するのはやさしいが解くのはとてつもな く難しいことが多い。この本の表題ともなっている「フェルマーの最終定理」 の証明もそのような整数問題の1つであり、アマチュア・プロを問わず 300 年もの間、多くの数学者の挑戦を退けてきた問題である。1995 年最終的に 証明を成し遂げた勝者はアンドリュー・ワイルズという数学者であった。し かし、その証明への取り組みは試練に満ちており、7年間の隠密行動、そし て1度は証明できたと発表して、その後証明に穴があることがわかり1年余 りの間、公にさられた状態での穴埋め作業の末ようやく証明完了というドラ マが書かれています。谷山、志村、岩澤、肥田といった日本人数学者もからみ、困難な問題にチャレンジする人間模様を描いた物語として、一読を。

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理系用読者:「数学者」としてのあの頃の感覚として読む
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【書名】「解決!フェルマーの最終定理 現代数論の軌跡」加藤和也著、日本評論社
( フェルマーの大定理が解けた!―オイラーからワイルズの証明まで (ブルーバックス) 足立恒雄著 新書 )
( フェルマーの大定理―整数論の源流 (ちくま学芸文庫) 足立恒雄著 )
( フェルマーの最終定理 文庫 フェルマーの最終定理 (新潮文庫) サイモン シン(著), 青木 薫 (翻訳) )

 


1993年6月23日に、プリンストン大学のA.ワイルスが、フェルマーの最終定理の証明を宣言し、その後、証明の不備が見つかり、1年以上に苦考の末、1994年9月19日にその修正に成功したこの期間に、著者が証明の解説として数学セミナー読者向けに書いたものを集めたものである。厳密性はないが、極力丁寧に、正確に伝えようとする、著者の誠実さと、理解の深さが伝わってくる。原論文の 1. A. Wiles; Modular elliptic curves and Fermat's last theorem, 2. R. Taylor, A. Wiles; Ring theoretic properties of certain Heck algebras にも、整数論にも、非常に惹きつけられる内容だった。購入時にも読んだと思われるが、詳しく覚えていないところをみると、理解しようとはしていなかったのかもしれない。むろん、今回も十分な時間をかけて読んだとは言えないが。

以下は備忘録

「砂田利一『基本群とラプラシアン、幾何学における数論的方法』」(p.37)「ワイルス『ぼくは、フライとリベットの結果を知ったとき、風景が変化したことに気がついた。(中略)この時まで、フェルマの最終定理は、何千年間もそのまま決して解かれることがなく数学がほとんど注目することがない数論の他の[散発的かつ趣味的な]ある種の問題と同じようなものに見えていた。フライとリベットの結果によって、フェルマの最終定理は、数学が無視することのできない重要な問題の結果という形に変貌したのだ。(中略)ぼくにとって、そのことは、この問題がやがて解かれるであろうと言うことを意味していた』」(p.67)「清水英夫著『保型関数I, II, III』、志村五郎著『Introduction to the theory of automorophic functions』、Knapp『Elliptic curves』、河田敬義著『数論I, II, III』、藤崎源二郎・森田康夫・山本芳彦著『数論への出発』、上野健爾著『代数幾何学入門』、J.H.シルヴァーマン・J.テイト著(足立恒雄〔ほか〕訳)『楕円曲線論入門』、土井公二/三宅敏恒著『保型形式と整数論』、肥田晴三著『Elementary theory of L-functions and Eisenstein series』、吉田敬之著『保型形式論: ─現代整数論講義─』、N.コブリンツ著(上田勝〔ほか〕訳)『楕円曲線と保型形式』」(p.123,4)「田口雄一郎さんの手紙に『Deligne さんの家はこの道の始まりのところ、森の入り口にあります。Deligne さんといへども、森羅万象の真理の最奥に至る道のほんの入口のところにゐるに過ぎないといふ、これは自然による卓抜な比喩であると思われます。ところが、恐ろしいことに彼の子供たちは毎日この道を通って森のむかうの学校に通ってゐるらしいのです。』とありました。フェルマーからの350年は大進歩でしたが、人類が続いてゆけば、それは今後何千年の数学の序曲であり、何段も何段も自然の深奥への新しい段階があることでしょう。」(p.239)「ガウス『どのように美しい天文学上の発見も、高等整数論が与える喜びには及ばない』ヒルベルト『数論には古くからの問題でありながら、今日も未解決のものが少なくない。その意味で、多くの神秘を蔵する分野であるが、他方、そこで展開される類体論のような、世にも美しい理論がある』」(p.245)「岩澤健吉『代数体と、有限体上の一変数関数体は、どこまでも似ていると信じてよい』」(p.246)「志村五郎は『整数論いたる所ゼータ関数あり』と述べたが今その言葉に『ゼータ関数のある所 岩澤理論あり』と続けて考えたい」(p.261)『ゼータ関数のある所 肥田理論あり』ともいえる。

 
「フェルマーの最終定理」を理解したい人(参考 書籍紹介)

N.コブリンツ著(上田勝〔ほか〕訳)『楕円曲線と保型形式』
土井公二/三宅敏恒著『保型形式と整数論』
志村五郎著『Introduction to the theory of automorophic functions』
J.H.シルヴァーマン・J.テイト著(足立恒雄〔ほか〕訳)『楕円曲線論入門』
Knapp『Elliptic curves』
河田敬義著『数論I, II, III』
藤崎源二郎・森田康夫・山本芳彦著『数論への出発』
上野健爾著『代数幾何学入門』
肥田晴三著『Elementary theory of L-functions and Eisenstein series』
清水英夫著『保型関数I, II, III』
吉田敬之著『保型形式論: ─現代整数論講義─』
砂田利一著『基本群とラプラシアン、幾何学における数論的方法』

原論文の
 1. A. Wiles; Modular elliptic curves and Fermat's last theorem, 
 2. R. Taylor, A. Wiles; Ring theoretic properties of certain Heck algebras

<a href="https://www.amazon.co.jp/本-志村-五郎/s?rh=n%3A465392%2Cp_27%3A志村+五郎" target="_blank">志村五郎 書籍(日本語 一般向け)</a>
(一部、数学では、一般向けでないものもあるので注意を)

論文集 (志村五郎)
Collected Papers. I: 1954-1965 (Hardcover ed.). Springer. (2002). ISBN 978-0-387-95406-6.
Collected Papers. II: 1967-1977 (Hardcover ed.). Springer. (2002). ISBN 978-0-387-95416-5.
Collected Papers. III: 1978-1988 (Hardcover ed.). Springer. (2003). ISBN 978-0-387-95417-2.
Collected Papers. IV: 1989-2001 (Hardcover ed.). Springer. (2003). ISBN 978-0-387-95418-9.
など



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参考(やや専門的内容)


Number Theory and Automorphic Forms 整数論と保型形式
http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~kyodo/kokyuroku/contents/689.html

整数論サマースクール 「志村多様体とその応用」

https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/~abenori/conf/20150817.html

整数論サマースクール 「保型形式のリフティング」プログラム

http://www.sci.kumamoto-u.ac.jp/~narita/ss2011_proceedings.pdf

整数論サマースクール報告集 「楕円曲線とモジュラー形式の計算」

http://ntw.sci.u-toyama.ac.jp/ss2017/

整数論サマースクール「多重ゼータ値」

http://www.ist.aichi-pu.ac.jp/~tasaka/ss2018/index.html

整数論札幌夏の学校 肥田晴三教授(UCLA)による講義を中心
https://core.ac.uk/download/pdf/42026066.pdf
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ワイルズによるフェルマー予想の解決にも岩澤理論は大きな役割を果たした。 また、これ以外にも日本人数学者の結果が大きく寄与している。例えば、 肥田(晴三)の理論が有効に用いられたし、解決への道筋は谷山・志村予想を 経由するものであった。


 ( 「谷山=志村予想」は、「志村予想」だった! 先生の「誠実さ、優しさ」)
https://www.math.kyoto-u.ac.jp/~tetsushi/nt_seminar.html
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参考(やや専門的内容)


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2018 年整数論サマースクール「多重ゼータ値」
2017 年整数論サマースクール「楕円曲線とモジュラー形式の計算」
2016 年整数論サマースクール「保型形式のp進family入門」
2015 年整数論サマースクール「志村多様体とその応用」
2014 年度整数論サマースクール 「非可換岩澤理論」
2013 年度整数論サマースクール 「p 進簡約群の表現論入門」
2012 年度整数論サマースクール 「Stark 予想」
2011 年度整数論サマースクール 「保型形式のリフティング」
2010 年度整数論サマースクール 「アーサー・セルバーグ跡公式入門」
2009 年度整数論サマースクール 「l 進ガロア表現とガロア変形の整数論」
2008 年度整数論サマースクール 「保型 L 函数」
2007 年度整数論サマースクール 「種数の高い代数曲線と Abel 多様体」
2006 年度整数論サマースクール 「Diophantine Equations」
2005 年度整数論サマースクール 「Hilbert 保型形式」
2004 年度整数論サマースクール 「基本群と Galois 表現」
2003 年度整数論サマースクール 「岩澤理論」
2002 年度整数論サマースクール 「概均質ベクトル空間」
2001 年度整数論サマースクール 「ゼータ関数」
2000 年度整数論サマースクール 「半整数ウェイトの保型形式」
1999 年度整数論サマースクール 「代数群の整数論入門」
1998 年度整数論サマースクール 「楕円曲線とその Arithmetic Moduli」
1997 年度整数論サマースクール 「Siegel 保型形式入門」
1996 年度整数論サマースクール 「Weil 表現入門」
1995 年度整数論サマースクール 「等質空間と保型形式」
1994 年度整数論サマースクール 「志村多様体と保型形式」
1993 年度整数論サマースクール 「アイゼンシュタイン級数について」
  ・・・・・・・
など
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参考

感動!「350年の難問解決! フェルマーの最終定理」 1995年2月13日( 数学[整数論]) 

数学 「350年の難問解決! フェルマーの最終定理」 1995年2月13日( 数学[整数論]) 

京都 VSOPも感動! (谷山・志村予想 がカギ)350年の難問解決! フェルマーの最終定理」 1995年2月13日( 数学[整数論]) 

京都 VSOPも感動!「350年の難問解決! フェルマーの最終定理」 1995年2月13日( 数学[整数論]) 
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素数と宇宙。量子力学と一般相対性理論。分離され停止した空間

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(個人的に、「平成30年間」に影響を受けた書籍(一部分))
参考

平成30年の「120冊」  個人的セレクト 数学書(数理科学関係 編)

平成30年間の31冊  個人的セレクト 数学書(数理科学関係 編) 洋書(英語版)

「令和」に伝えたい数学書籍  選  平成30年間の和書・書籍「120冊」(日本語)と洋書・書籍「31冊」(英語版)
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