2005年02月23日 志村五郎・森重文 両先生 の 「誕生日の数学・算数(素数)」/ 志村五郎先生の「誕生日の素数」のダビンチコードは?「19300223、209563、 691、55787、313289、23333」


志村五郎・森重文
今日、2月23日は、東大出身の代数学者、志村五郎さんの誕生日です。

この方は「谷山・志村予想」で有名です。この予想についてはこちらの記事でも少しだけ触れましたが、楕円曲線とモジュラー形式という無関係な理論を結びつける予想で、とても美しいものだと言われます。…私にはまだよくわかりませんが、、代数学に進みたいとは思っているので、いずれは理解し、美しさを感じたいと思っています。

注目すべきことは、「谷山・志村予想(の一部)が正しければフェルマーの最終定理が正しい」ということをフライという数学者が証明しており、フェルマーの最終定理の証明においてワイルズが証明したことはこの「谷山・志村予想の一部」だということです。

また、ワイルズの証明では岩澤理論が用いられており、数論における日本人の活躍はめざましいものと言えます。


そして今日、2月23日は、現京大教授、森重文さんの誕生日でもあります。

この方は何と言ってもフィールズ賞受賞者ということで有名です。

ご存知の方も多いと思いますが、フィールズ賞は「数学のノーベル賞」と言われます。しかしノーベル賞は毎年あるのに対しフィールズ賞は4年に1回、更に40歳までの研究者を対象に贈られるということで、私にはノーベル賞よりも価値のあるものに思えます。これまでフィールズ賞を受賞した日本人は3名で、その中の1名が森さんです。

Wikipediaによると受賞理由は「三次元代数多様体の極小モデルの存在証明」だそうです。…今の私では何のことかさっぱりですが^^;

あ、ただ一つ言えることは、これを見て「三次元?なんか簡単そうじゃん」と思われた方がいるとすれば、それは違います。粗い説明になりますが、多様体論では一般に、次元が高くなればなるほど何でもアリの世界になっていくので高次元は比較的議論しやすく、研究のメインは三次元から、せいぜい四次元くらいまでにあるのです。例えばミレニアム問題の一つである「ポアンカレ予想」も、三次元に関する問題ですし、三次元空間にはわかってない事柄がまだまだたくさん存在します。



上で紹介したお二人とも1900年代生まれの方で、森さんに至っては現在も現役の数学者として活躍されていらっしゃいます。ガロアやオイラーなど、昔の数学者の功績なら私もだいたい理解しているつもりですし一般にもよく語られているので紹介しやすいんですが、最近の数学者による新しい功績は、私自身がそれを理解できるレベルに至ってないので、紹介文がイマイチですね^^;

私はこのような方々の功績を見て、「日本の数学は遅れてないんだ」と確認し、日々の勉強に対するモチベーションが上がっています。一昔前は海外を経ることによって「ハク」をつけることが重要だったという話も聞きますが、最近はそんなこともなくなってきているようです。今回の紹介文はイマイチですが、あなたが「日本の数学は遅れてない」と感じ、モチベーションを少しでも上げることができたなら、幸いです。


講義・広中平祐さん、記録・森重文さんの書籍です。広中先生もフィールズ賞受賞者です。一度お会いしたことがあるのですが、謙虚で優しい方で、まさに私の憧れる数学者そのものでした。…というか、広中先生に憧れて数学を目指すようになったと言っても過言ではありません^^;

本の題名になっている「代数幾何学」は、前提知識としては代数学の群論・環論・体論の知識と集合・位相の基本的知識が必要で、私もゆっくりと学んでいるところですが大変難しいです。しかし、代数幾何学を少しだけ学んだという段階でも、広中先生のフィールズ賞受賞理由の帰結である「任意の特異点は有限回のブローアップで解消される」ということのすごさを実感することができました。あ、証明は200ページくらいあるらしいのでわかりませんがw 集合・位相と群・環・体論は前提知識なしに習得可能ですし、フィールズ賞の凄さを実感したい方は一年くらい本気で数学すれば、広中先生の帰結に感動できると思います。

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志村五郎先生の「誕生日の素数」のダビンチコードは?

志村五郎先生の「ダ・ヴィンチ コード」は、19300223、209563、 691、55787、313289、23333である。

「誕生日の素数」とは・・・生年月日から「数」をつくり、その数を「素因数分解」して、最大素数を構成する「数のゲーム」である。



志村五郎(1930年2月23日)
の「誕生日の12次元」の「数」
「数」⇔「反転数(鏡の数)」


1.19300223⇔32200391
2.23051930⇔3915032
3.2231930⇔391322
4.19302302⇔20320391
5.2193023⇔3203912
6.23193002⇔20039132

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志村五郎(1930年2月23日)の「6つの数 (6 Number)シックスナンバー」
1.19300223
2.23051930
3.2231930
4.19302302
5.2193023
6.23193002

志村五郎(1930年2月23日)の「6つの反転数 (6 Inversion Number)シックス・インバージョン・ナンバー」
7.32200391
8.3915032
9.391322
10.20320391
11.3203912
12.20039132
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問1 志村五郎(1930年2月23日)の場合
「数」を「素因数分解」する。
12Number(12ナンバー)
12Prime factorization(12個の素因数分解)
1.19300223=
2.23051930=
3.2231930=
4.19302302=
5.2193023=
6.23193002=
7.32200391=
8.3915032=
9.391322=
10.20320391=
11.3203912=
12.20039132=

(すごい「素数」が存在する?)

問A 志村五郎(1930年2月23日)の場合
「数」→ 「APS素数」
12Number(12ナンバー)→ 12Prime(12プライム)
1.19300223→ 
2.23051930→ 
3.2231930→ 
4.19302302→ 
5.2193023→ 
6.23193002→ 
7.32200391→ 
8.3915032→ 
9.391322→ 
10.20320391→ 
11.3203912→ 
12.20039132→ 
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親子孫(家族)で計算してみよう!(歴史上の人物や有名人等の誕生日を調べで「研究」してみよう!

解答は下

参考
計算サイト
http://number006aps.blog.jp/archives/1074795205.html

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「誕生日の素数」とは・・・

レオナルド・ダ・ヴィンチの6つの「素数の暗号」
「ダ・ヴィンチ コード」は、97、3760363、2477、453797、2027、571 である。
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レオナルド・ダ・ヴィンチは、1452年4月15日生まれらしい。

映画「ダ・ヴィンチ コード」に影響をうけ、誕生日から「ダ・ヴィンチ コード」を探してみた。
レオナルド・ダ・ヴィンチの「素数の暗号」です。
この誕生日のから、「年」、「月」、「日」から6つの「数」をつくる。
これを「6つの数(6 Number)シックスナンバー」となづける。
1.14520415
2.15041452
3.4151452
4.14521504
5.4145215
6.15145204

この6つの数を素因数分解し、その因数のうち「最も大きな素数(APS素数)」の6つができる。
ダ・ヴィンチの6つの「素数の暗号」が「ダ・ヴィンチ コード」である。
注:6つの「数」を作り方は、「ルール(規則)」を参照のこと。
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計算手順1
レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452年4月15日)の場合
「6つの数(6Number)」の素因数分解する。
1.14520415=5 * 7 * 7 * 13 * 47 * 97
2.15041452=2 * 2 * 3760363
3.4151452=2 * 2 * 419 * 2477
4.14521504=2 * 2 * 2 * 2 * 2 * 453797
5.4145215=5 * 409 * 2027
6.15145204=2 * 2 * 19 * 349 * 571
ダ・ヴィンチGCD
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計算手順2
レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452年4月15日)の場合
素因数分解した数より、最も大きな数を選ぶ。
「最も大きな数」=「APS素数」

1.14520415→97
2.15041452→3760363
3.4151452→2477
4.14521504→453797
5.4145215→2027
6.15145204→571
「ダ・ヴィンチ コード」は、「97、3760363、2477、453797、2027、571」 である。
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6Prime(シックス・プライム)は、「6つの数(6 NUMBER)シックスナンバー」それぞれを素因数分解し、その因数のうち「最も大きな素数(APS素数)」の6つのことである。
「6つの数(6Number)」も「APS素数」も同じ「数」の場合もある。
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ルール(規則)
「6つの数(6 Number)シックスナンバー」の謎(なぞ)へ
「6つの数(6 Number)シックスナンバー」は、「年」、「月」、「日」から「数」をつくる。
1.「年月日」: (YYYY年MM月DD日)の「YYYYMMDD」の「数」を使います。(日本形式)(年→月→日)
2.「日月年」: (DD日MM月YYYY年)の「DDMMYYYY」の「数」を使います。(ヨーロッパ形式)(日→月→年)
3.「月日年」:(MM月DD日YYYY年)の「MMDDYYYY」の「数」を使います。(アメリカ形式)(月→日→年)
4.「年日月」:(YYYY年DD日MM月)の「YYYYDDMM」の「数」を使います。(「ある地域(国)」形式)(年→日→月)
5.「月年日」:(MM月YYYY年DD日)の「MMYYYYDD」の「数」を使います。(「天空の城」形式)(月→年→日)
6.「日年月」:(DD日YYYY年MM月)の「DDYYYYMM」の「数」を使います。(宇宙の形式)(日→年→月)

1879年3月14日の場合
1.YYYY.MM.DD=1879.03.14 「DDMMYYYY」=18790314
2.DD.MM.YYYY=14.03.1879 「MMDDYYYY」=14031879
3.MM.DD.YYYY=03.14.1879 「YYYYDDMM」=3141879
4.YYYY.DD.MM=1879.14.03 「MMYYYYDD」=18791403
5.MM.YYYY.DD=03.1879.14 「MMYYYYDD」=3187914
6.DD.YYYY.MM=14.1879.03 「DDYYYYMM」=14187903

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つまり、人は誰でも「ダ・ヴィンチ コード」をもっている。
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レオナルド・ダ・ヴィンチの6つの「素数の暗号」
「ダ・ヴィンチ コード」は、97、3760363、2477、453797、2027、571 である。
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解答例
問1  志村五郎(1930年2月23日)の場合

「数」を「素因数分解」する。
12Number(12ナンバー)

12Prime factorization(12個の素因数分解)

1.19300223=19300223(なんと素数!)
2.23051930=2 * 5 * 11 * 209563
3.2231930=2 * 5 * 17 * 19 * 691 ( 「17」 と 「691」 )
4.19302302=2 * 173 * 55787
5.2193023=7 * 313289
6.23193002=2 * 7 * 71 * 23333 ( あの 「71」)
7.32200391=23 * 1400017
8.3915032=2 * 2 * 2 * 11 * 17 * 2617
9.391322=2 * 23 * 47 * 181
10.20320391=7 * 13 * 13 * 89 * 193
11.3203912=2 * 2 * 2 * 31 * 12919
12.20039132=2 * 2 * 5009783

問A 志村五郎(1930年2月23日)の場合
「数」→ 「APS素数」
12Number(12ナンバー)→ 12Prime(12プライム)

1.19300223→ 19300223
2.23051930→ 209563
3.2231930→ 691
4.19302302→ 55787
5.2193023→ 313289
6.23193002→ 23333
7.32200391→ 1400017
8.3915032→ 2617
9.391322→ 181
10.20320391→ 193
11.3203912→ 12919
12.20039132→ 5009783
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志村五郎先生の6つの「素数の暗号」
「ダ・ヴィンチ コード」は、19300223、209563、 691、55787、313289、23333である。
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世界  日付表現メモ 
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2017 0128
数学者が読んでいる本ってどんな本 小谷元子(編集) 東京書籍

本の街・東京神田神保町「書泉グランデ」の「数学者の書棚」フェア。本書では、2年間のブックフェア選者13人がフェアのために選んだブックリストと、そのなかでも特に思い入れのある書籍に対して、長めの紹介または短めの一言紹介をつけている。コメントの付いた書籍が233冊、ブックリストに挙がった書籍は全950冊と、広い領域をカバー。

2017 0128
森重文 京都大学数理解析研究所
解説あり
1 数学まなびはじめ 第1集・第2集 日本評論社 2006 
2 初等代数幾何講義 リード 岩波書店 1991 
3 現代代数学(3巻) 東京図書 1959 
4 石とりゲームの数理 一松信 森北出版 2003
5 復刻版 近世数学史談・数学雑談 高木貞治 共立 1996 
6 目で見る美しい量子力学 外村彰 
7 凸体と代数幾何学 小田忠雄 紀伊國屋書店 2008 
8 記憶の切繪図 七十五年の回想 志村五郎 筑摩書房 2008 
9 伝えたい大切なこと 産経新聞社編 東洋経済新報社 2006 
10 代数幾何学 広中平祐講義 京都大学学術出版会 2004 
11 可換体論 永田雅宜 裳華房 1967 役立つ 大学新書庫1層
12 集合・位相入門 松坂和夫 岩波 1968 
13 不等式 大関信雄ほか 槇書店 1967 
14 定木による作図 コンパスによる作図 スモゴルジェフスキーほか 東京図書 1964 

リストのみ
1 ヒルベルト 数学の問題 増補版 共立 1969 
2 代数幾何における位相的方法 吉岡書店 2002 
3 双有理幾何学 Kollar 岩波 2008 大学410.8I95.16
4 現代ベクトル解析 ベクトル解析から調和積分へ Nickerson 岩波 1965 
5 ガロアの理論 Postnikov 東京図書 1964 
6 初等代数幾何講義 Lead 岩波 1991
7 現代代数学 3巻 Waerden 東京図書 1959 
8 復刊 近代代数学 秋月康夫ほか 共立 2012 
9 特異点入門 石井志保子 シュプリンガー・ジャパン 1997
10 ルベーグ積分入門 伊藤清三 裳華房 1963 
11 代数函数論 増補版 岩澤健吉 岩波 1973 
12 凸体と代数幾何学 小田忠雄 紀伊國屋書店 2008 
13 代数多様体論 川又雄二郎 共立 1997 
14 理工科系 代数学と幾何学 小松醇郎 共立 1966
15 行列と行列式 佐武一郎 裳華房 1958 
16 方程式論 園正造 至文堂 1948 
17 定本 解析概論 高木貞治 岩波 2010 
18 初等整数論講義 第2版 高木貞治 共立 1971 
19 代数学講義 改訂新版 高木貞治 共立 1965 
20 代数的整数論 第2版 高木貞治 岩波 1971 
21 複素函数論 辻正次 槇書店 1968 
22 保型形式と整数論 土井公二/三宅敏恒 紀伊國屋書店 1976 
23 代数幾何学 中井喜和ほか 共立 1957 
24 復刊 位相幾何学 ホモロジー 中岡稔 共立 1999 
25 可換環論 永田雅宜 紀伊國屋書店 1974 
26 可換体論 永田雅宜 裳華房 1967 
27 理系のための線型代数の基礎 永田雅宜 紀伊國屋書店 1987
28 復刊 アーベル群・代数群 永田雅宜 共立 1999 
29 復刊 抽象代数幾何学 永田雅宜 共立 1999
30 大域変分法 長野正 共立 1971 
31 復刊 現代代数学 服部昭 朝倉書店 2004 
32 多変数解析函数論 一松信 培風館 1960
33 代数幾何学 広中平祐講義 京都大学 2004 
34 ゲージ理論とトポロジー 深谷賢治 丸善出版 2012 
35 数学原論 可換代数3 ブルバキ 東京図書 1986 
36 数学原論 代数3 ブルバキ 東京図書 1977 
37 数学原論 代数4 ブルバキ 東京図書 1969 
38 数学原論 代数5 ブルバキ 東京図書 1969 
39 集合・位相入門 松坂和夫 岩波 1968 
40 復刊 リー環論 松嶋与三 共立 2010 
41 多様体入門 松嶋与三 裳華房 1965 
42 代数幾何学 宮西正宜 裳華房 1990 
43 モース理論 Milor 吉岡書店 2004 
44 モジュライ理論Ⅰ、Ⅱ 向井茂 岩波 2008 
45 解析的整数論Ⅰ 素数分布論 本橋洋一 朝倉書店 2009 
46 不変式論 森川寿 紀伊國屋書店
47 群と位相 横田一郎 裳華房 1971 
48 谷山豊全集 増補版 日本評論社 1994 
49 不等式 大関信雄 槇書店 1967 
50 定木による作図、コンパスによる作図 スモゴルジェフスキー 東京図書 1964 
51 ガロアの夢 群論と微分方程式 久賀道郎 日本評論社 1968 
52 石とりゲームの数理 一松信 森北出版 1957
53 初等的に解いた高等数学の問題 1-4 Yalom 東京図書 1957 
54 復刻版 近世数学史談・数学雑談 共立 1996 
55 量子群とヤン・バクスター方程式 シュプリンガー・ジャパン 1990 
56 数学者ザリスキーの生涯 Prikh シュプリンガー・ジャパン 1996 
57 ガロアの時代 ガロアの数学 第Ⅰ部、Ⅱ部 彌永昌吉 丸善出版 1999
58 数学者の20世紀 彌永昌吉エッセイ集 岩波 2000 
59 アンドレ・ヴェイユ自伝 ある数学者の修行時代 丸善出版 2012 
60 若き日の思い出 彌永昌吉 岩波 2005 
61 目で見る美しい量子力学 外村彰 サイエンス社 2010 
62 確率論と私 伊藤清 岩波 2010 
63 志学数学 井原康隆 丸善出版 2012 
64 小数ができない大学生 国公立大学も学力崩壊 岡部恒治 東洋経済新報社 2000  
65 『博士の愛した数式』 小川洋子 新潮社 2003 
66 クロフツ短編集 Crofts 東京創元社 1965 
67 伝えたい大切なこと 産経 東洋経済新報社 2006 
68 記憶の切繪図 七十五年の回想 志村五郎 筑摩書房 2008
69 数学をいかに使うか 志村五郎 ちくま学芸文庫 2010
70 中国説話文学とその背景 志村五郎 ちくま学芸文庫 2006
71 無所属の時間で生きる 城山三郎 朝日新聞社 2002 
72 数学まなびはじめ 第1集、第2集 日本評論社 2006
73 算数軽視が学力を崩壊させる 西村和雄ほか 講談社 1999 
74 視覚の地平 勝井三雄 宣伝会議 2003

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フェルマーの最終定理 【著者】サイモン•シン(青木薫 訳) 【発行】新潮社(新潮文庫) / 「解決!フェルマーの最終定理 現代数論の軌跡」加藤和也著、日本評論社

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文系用読者:「教育者」としてのあの頃の感覚として読む
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フェルマーの最終定理 【著者】サイモン•シン(青木薫 訳) 【発行】新潮社(新潮文庫)



整数に関する問題は、問題を理解するのはやさしいが解くのはとてつもな く難しいことが多い。この本の表題ともなっている「フェルマーの最終定理」 の証明もそのような整数問題の1つであり、アマチュア・プロを問わず 300 年もの間、多くの数学者の挑戦を退けてきた問題である。1995 年最終的に 証明を成し遂げた勝者はアンドリュー・ワイルズという数学者であった。し かし、その証明への取り組みは試練に満ちており、7年間の隠密行動、そし て1度は証明できたと発表して、その後証明に穴があることがわかり1年余 りの間、公にさられた状態での穴埋め作業の末ようやく証明完了というドラ マが書かれています。谷山、志村、岩澤、肥田といった日本人数学者もからみ、困難な問題にチャレンジする人間模様を描いた物語として、一読を。

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理系用読者:「数学者」としてのあの頃の感覚として読む
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【書名】「解決!フェルマーの最終定理 現代数論の軌跡」加藤和也著、日本評論社
( フェルマーの大定理が解けた!―オイラーからワイルズの証明まで (ブルーバックス) 足立恒雄著 新書 )
( フェルマーの大定理―整数論の源流 (ちくま学芸文庫) 足立恒雄著 )
( フェルマーの最終定理 文庫 フェルマーの最終定理 (新潮文庫) サイモン シン(著), 青木 薫 (翻訳) )


1993年6月23日に、プリンストン大学のA.ワイルスが、フェルマーの最終定理の証明を宣言し、その後、証明の不備が見つかり、1年以上に苦考の末、1994年9月19日にその修正に成功したこの期間に、著者が証明の解説として数学セミナー読者向けに書いたものを集めたものである。厳密性はないが、極力丁寧に、正確に伝えようとする、著者の誠実さと、理解の深さが伝わってくる。原論文の 1. A. Wiles; Modular elliptic curves and Fermat's last theorem, 2. R. Taylor, A. Wiles; Ring theoretic properties of certain Heck algebras にも、整数論にも、非常に惹きつけられる内容だった。購入時にも読んだと思われるが、詳しく覚えていないところをみると、理解しようとはしていなかったのかもしれない。むろん、今回も十分な時間をかけて読んだとは言えないが。

以下は備忘録

「砂田利一『基本群とラプラシアン、幾何学における数論的方法』」(p.37)「ワイルス『ぼくは、フライとリベットの結果を知ったとき、風景が変化したことに気がついた。(中略)この時まで、フェルマの最終定理は、何千年間もそのまま決して解かれることがなく数学がほとんど注目することがない数論の他の[散発的かつ趣味的な]ある種の問題と同じようなものに見えていた。フライとリベットの結果によって、フェルマの最終定理は、数学が無視することのできない重要な問題の結果という形に変貌したのだ。(中略)ぼくにとって、そのことは、この問題がやがて解かれるであろうと言うことを意味していた』」(p.67)「清水英夫著『保型関数I, II, III』、志村五郎著『Introduction to the theory of automorophic functions』、Knapp『Elliptic curves』、河田敬義著『数論I, II, III』、藤崎源二郎・森田康夫・山本芳彦著『数論への出発』、上野謙爾著『代数幾何学入門』、J.H.シルヴァーマン・J.テイト著(足立恒雄〔ほか〕訳)『楕円曲線論入門』、土井公二/三宅敏恒著『保型形式と整数論』、肥田晴三著『Elementary theory of L-functions and Eisenstein series』、吉田敬之著『保型形式論: ─現代整数論講義ー』、N.コブリンツ著(上田勝〔ほか〕訳)『楕円曲線と保型形式』」(p.123,4)「田口雄一郎さんの手紙に『Deligne さんの家はこの道の始まりのところ、森の入り口にあります。Deligne さんといへども、森羅万象の真理の最奥に至る道のほんの入口のところにゐるに過ぎないといふ、これは自然による卓抜な比喩であると思われます。ところが、恐ろしいことに彼の子供たちは毎日この道を通って森のむかうの学校に通ってゐるらしいのです。』とありました。フェルマーからの350年は大進歩でしたが、人類が続いてゆけば、それは今後何千年の数学の序曲であり、何段も何段も自然の深奥への新しい段階があることでしょう。」(p.239)「ガウス『どのように美しい天文学上の発見も、高等整数論が与える喜びには及ばない』ヒルベルト『数論には古くからの問題でありながら、今日も未解決のものが少なくない。その意味で、多くの神秘を蔵する分野であるが、他方、そこで展開される類体論のような、世にも美しい理論がある』」(p.245)「岩澤健吉『代数体と、有限体上の一変数関数体は、どこまでも似ていると信じてよい』」(p.246)「志村五郎は『整数論いたる所ゼータ関数あり』と述べたが今その言葉に『ゼータ関数のある所 岩澤理論あり』と続けて考えたい」(p.261)『ゼータ関数のある所 肥田理論あり』ともいえる。

「フェルマーの最終定理」を理解したい人(参考 書籍紹介)

N.コブリンツ著(上田勝〔ほか〕訳)『楕円曲線と保型形式』
土井公二/三宅敏恒著『保型形式と整数論』
志村五郎著『Introduction to the theory of automorophic functions』
J.H.シルヴァーマン・J.テイト著(足立恒雄〔ほか〕訳)『楕円曲線論入門』
Knapp『Elliptic curves』
河田敬義著『数論I, II, III』
藤崎源二郎・森田康夫・山本芳彦著『数論への出発』
上野謙爾著『代数幾何学入門』
肥田晴三著『Elementary theory of L-functions and Eisenstein series』
清水英夫著『保型関数I, II, III』
吉田敬之著『保型形式論: ─現代整数論講義─』
砂田利一著『基本群とラプラシアン、幾何学における数論的方法』

原論文の
 1. A. Wiles; Modular elliptic curves and Fermat's last theorem, 
 2. R. Taylor, A. Wiles; Ring theoretic properties of certain Heck algebras



論文集 (志村五郎)
Collected Papers. I: 1954-1965 (Hardcover ed.). Springer. (2002). ISBN 978-0-387-95406-6.
Collected Papers. II: 1967-1977 (Hardcover ed.). Springer. (2002). ISBN 978-0-387-95416-5.
Collected Papers. III: 1978-1988 (Hardcover ed.). Springer. (2003). ISBN 978-0-387-95417-2.
Collected Papers. IV: 1989-2001 (Hardcover ed.). Springer. (2003). ISBN 978-0-387-95418-9.
など


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